複雑・ファジー小説
- Re: もしも俺が・・・・。 ( No.23 )
- 日時: 2013/02/12 23:55
- 名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode
————第3幕 『もしも俺が風紀委員会を紹介したなら……。』————
「パート1。」
————時は過ぎゆく。変わらずに、誠実に。
朝のイジメ騒動は無事落ち着きを取り戻し、
後始末はこの学校の風紀を守る、風紀委員会が引き受けてくれた。
後始末といっても、別に病院に連れて行く、とかではなく、
風紀委員室で質問攻めと説教をされるだけなのだが。
まぁ悪いのは向こうであるので、自業自得である。
無論、私達も他人事ではないのだがね。
「ああ、黒川と霧島。君らは後で風紀委員室に行くようにな。」
と、花狩先生は苦笑して言った。
毎度毎度これでは、さすがの先生も呆れてしまったのだろう。
結果的には下級生を助けたとはいえ、暴力を振るった事には変わらない。
上級生ほどではないにしろ、まぁ質問攻めは覚悟しておくべきだな。
で、だ。現状を言うとだな————。
昼休みを迎えた私達は、重い足取りで風紀委員室に向かい、
風紀委員と重い空気の中、ソファーに座って向かい合っている、
それが今の状況である……。
「……またですか、貴方達は。よっぽどの暇人なんですね。」
私達の前に座る風紀委員会のメンバーである女性は、ふうっ、ため息を吐き、私達を軽蔑の目で見る。
「いや〜、そんな目で見ないでくださいよ。今回は仕方なくやっちゃたのよ。」
「貴方は以前もそのまた以前も、そんなことを言っていたと思いますが? 霧島勇気。」
「うっ、覚えていたのね。白九ちゃん……。」
白九と呼ばれる女性は、睨むような目で霧島を見つめる。バカ野郎。今ふざけたら撃ち殺されるぞ?
————彼女の名前は、『光 白九 (ひかり しろく)』。
風紀委員会の副リーダーを務めており、私達と同級生でもある。
髪はショートヘアーで、黒川くんと同じく、学校配布の制服をきっちりと着こなしている。
実力は折り紙つき。どこからともなく現れて、刑罰を与える。
その姿から、『影の断罪者』と通り名が付くほどだ。
愛用のライフルを彼女は肌身離さず持っている。いつ事件が起きても制裁を与えられるように。
私達は毎度、喧嘩の仲裁を行ってはここに連れてこられており、
毎度彼女に質問攻めを食らう形になっているのだ。
そんなこんなで、私達は現在怒涛の質問攻めを食らっているのだ。
霧島は深いため息をつき始めるが、そんな姿を見ても白九の口と手は止まらない。
私達の質問に対しての答えを細かくノートに書き留めているのだ。相変わらずマメな人だ。
「————そろそろ許してやったらどうだ、白九?
彼らは今回もイジメの仲裁に入っただけなんだろ?」
そう言いながら私達を見て、白九の隣にストンと座った女性。
黒い髪を男と見間違えるほど短く切っており、同じく制服を着こなしている。身長は165cm程か。
彼女の名は、『伊月 蓮 (いづき れん)』。私達より一つ上の先輩だ。
軍人に憧れているせいか、男勝りな部分が目立つ。
軍事オタクという噂もあるらしいが、実際のところは定かではない。
「蓮先輩にしては甘いですね。“他人に厳しく 、自分に厳しく”が、モットーな蓮先輩が。」
「別に。さっきの奴らが全面的に悪いのは確かだからな。
こいつ等が問題を起こしたわけじゃないしな。」
このシーンだけ見れば、『蓮先輩、優しい!!』なんて思うかもしれない。
だがそれは違う。むしろ彼女は、白九以上に怖いし、白九以上に厳しいお方だ。
問題を起こした奴には徹底的な罰を与える。例を挙げると、ハードな筋トレをさせる、などだ。
問題を起こした生徒によると、腕立て伏せを300回やれと強要された、という報告も受けている。
なぜ罰として筋トレをさせるのかは分からないが、一つ言えることがある。彼女は鬼だ。
「それにな、白九。今日は隊長がこいつ等に用があるらしい。だからもういいってよ。」
「リーダーが、ですか? 珍しいですね。何の用でしょうか?」
白九は聞くが、「さぁ?」と首を傾げ、それ以上は何も言わず、
蓮は持参のミネラルウォーターに口を付ける。
リーダー? まさか風紀委員会のリーダーが私達に? 一体何のようだ?
直々に呼ばれるような事をしたとは思えないが。まさかの説教か?
「なぁ黒川、確かお前、リーダーって奴と面識あったよな? どんな奴なんだ?」
霧島は私の耳に小声で呟く。ヒソヒソ声なので白九達には聞こえてないみたいだ。
まぁ確かに、私は一度面識がある。一年の時に一度、な。
そういえば、霧島は初めてだったか。
そうだなぁ、強いて言うのであれば————
その時、風紀委員室の扉が開いた……。
入ってきたのは、これまた制服をきっちり着こなした、長身の男性。
「あ、隊長。お疲れ様です。」
蓮も白九もソファーからスッと立ち上がり、敬礼を行う。
身長は190cm程。髪は現代では珍しい、前に思いっきり突き出た黒色のリーゼントヘアー。
瞳の色は緑。顔は綺麗に整った、かなりのイケメンである。
そう、彼こそこの風紀委員会のリーダーなのだが、
そうだな、彼の事を霧島にも分かるように、一言で言うのなら、
「オウ、シロク、レン。お疲れ様なのデース。」
————彼は、『外国人』なのである。
その割には日本語はペラペラなのだが、カタコトになることも多い。
「……リーダー。彼らに用があるのは本当ですか?」
白九は男性に尋ねる。男性を何度も頷きながら、
「イエスイエス。ワタシは彼らに話があるのデース。」
と、陽気に答えた。
相変わらず以前と変わっていないようだ。
初めて会った時もこの様に陽気な男であった。
常に余裕を感じられる。
このような部分が風紀委員会の頂点に立つ所以なのかもしれない。
「さて、クロカワ。そしてキリシマ。今日は来てくださって感謝なのデース。」
男はスッと頭を下げ、手を胸に当て、綺麗な姿勢でお辞儀をする。
彼のそんな姿に、こちらもかしこまってしまう程だ。そして・・・
「まずは自己紹介を。ワタシの名前はイエガ—。よろしくなのデース。」
イエガ—と名乗る男は、私達を見てニコッと笑った————。