複雑・ファジー小説
- Re: もしも俺が・・・・。 ( No.31 )
- 日時: 2013/02/12 23:58
- 名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode
————第4幕 『もしも俺がドラえもんの世界に行ったなら……。』————
「パート1。」
————現時刻は、午後3時30分。授業の終わりを告げるチャイムが鳴り終わって、10分が経過した。
授業を終え、生徒達は帰宅を始めていく。そんな中、私達はというと、近くの公園に移動していた。
それはなぜか? 理由は今から約10分前にさかのぼる……。
「————黒川、今なんつった!?」
授業が終え、私が言った言葉を信じられず、霧島は興奮気味に聞き返す。
別に大したことは言っていない。ただ私は、
「だから、今から研究のために『力』を使って、
『ドラえもんの世界』に行こうと思っているのだが、来るか?」
「なぁにが、『別に大したことは言っていない。(キリッ)』だッ!! 充分大したことだっての!!」
……おい、私はそんなドヤ顔で言ったつもりはないし、そもそも言っていないぞ?
心の中で思っただけだ。お前はいつから超能力者になった?
————ところで、以前私が話したことを覚えていらっしゃるだろうか?
私の『力』は『自分の脳内に描いた、もしもの世界に行くことが出来る』というものだ。
その力はあらゆる不可能を可能にする。それこそ、誰もが夢見る二次元の世界にだって行くことが出来る。
そして、今回私が初めて君たちに招待するもしもの世界が、『ドラえもん』の世界だという事だ。
『ドラえもん』を知らない人はあまりいないと思うが、一応解説しておこう。
何もかもがダメダメな人間、『のび太』を将来有望な人間に改造するために、
未来から来た猫型ターミネーター、『ドラえもん』が道具を使ってのび太を変えていく……
と、いうお話だ。若干違う? 問題ない。詳しくは『Wi○ipedia』を見た方がいい。
「ところで、どうして『ドラえもんの世界』なの? やっぱり秘密道具が魅力だから?」
水島は首をかしげて黒川に尋ねる。黒川はフッと笑い、
「それもある。が、一番の理由は私の『研究の進歩』だ。」
ドラえもんの持つ道具というのはどれも一線を越えている。
問答無用でどこでも行けたり、空を飛べたり、時空を超えて過去に行けたり、と。
無論、この世界ではまだ無いような技術がドラえもんの世界にはあるわけだ。
つまり、黒川はドラえもんの世界で自分の研究を進めるために行くのだ。
試したい試作品が山ほどある。これを向こうでより完全なモノに改造しようとそういうわけだ。
「私一人で行ってもいいのだが、せっかくだ。お前達も来てみたらどうだ?」
「……うん!! 行ってみたい!! 私はのび太君に会ってみたいな。」
「俺も行くぜ。あいつらと遊んで仲良くなりたいしな。」
水島と霧島の同意を聞いて、「決まりだな。」、と黒川は頷いて答える。
————そして現在、公園に移動したと、そういうわけである。
周りには人がいない。猫や犬すらいない、のどかで静かである。
「さて、ではさっそく始めるか————。」
そういえば、皆様は初めてだったな。ならこの際説明しておこう。
私の能力は『頭に思い描いた世界に行くことが出来る能力』。
私はそんな世界を『もしもの世界』と呼んでいる。
具体的には、まずは頭にキーワードを思い浮かべ、世界を具体的にイメージする。
この場合のキーワードは『ドラえもん』。そして漫画で見たような世界を思い浮かべる。
そして次に、自分たちの設定を付け加える。
言い忘れていたが、この能力はイメージさえすれば、自分たちの『立ち位置』を自由に決めることが出来る。
例えば、『のび太君の兄』というのを設定で強くイメージすれば、その世界に行った時、
『のび太君の兄』としての扱いを受けることになる。つまりキャラ付けが可能というわけだ。
今回はそんなことを考えてはいないので、今回の設定は、『のび太君達の友達』と設定する。
『のび太君の友達』というのを強くイメージする。
これで私達は『のび太君の友達』として世界に行くことが出来る。
ちなみに、もっと細かい設定を付けたすことも可能だが、頭を凄く使うし、疲れる。あまりお勧めはしない。
と言いつつ、ちゃっかり『細かい設定』をしている自分がいるのだが。
まぁ設定した内容は後に明かしてあげよう。
そして、そこまでの事を強くイメージしたうえで、
黒川は右手を前にゆっくり突出し、目を閉じる……。
そして強く、心に気持ちをのせて、今ここに唱える————。
“Information search————。Open、Possibility Gate ————”
(情報検索————。もしもの扉、今ここに開きたまえ————!!)
その呪文に応えるように、黒川の目の前に無数の光が集まり、
そして透き通るような綺麗な光を纏う、一つの扉が姿を現した……。
「ひゃあー、何度見ても凄い光景だねぇこれは。」
「……綺麗。この先に別の世界が……。」
霧島も水島も、前に現れた扉に感動の言葉を漏らす。
この先に広がる世界こそ、私達がこれから行く世界だ……。
「そうだ。さぁ、行こうか。もしもの世界、『ドラえもんの世界』へ————」
それぞれが一歩踏み出し、一人ずつ扉をくぐるように光へと進んでいく————。