複雑・ファジー小説
- Re: もしも俺が・・・・。 ( No.43 )
- 日時: 2013/02/14 12:41
- 名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode
「パート3。」
————光を抜け、出てきた場所は、俺達の世界の公園だった。
黒川が『門』を開け、そして俺達はドラえもんの世界にいった。
そこで得たものは、のび太君や他の奴らとの熱い友情。主にのび太君だが。
「……だけどなぁ、別れのあいさつぐらいしたかったなぁー。」
「仕方ないよ霧島君。いきなり光に包まれたと思って、気付いたらここに戻ってきてたんだから。」
悔しがる霧島の隣で、嬉しそうな表情で水島は言う。
そうだ、忘れていたんだ。30分というタイムリミットがあることを。
気付いたら身体が少しづつ消え始めて、意識を取り戻した時にはここにいた。
結局、のび太君に何も言えず……な。
「ところで水島ちゃん、なんか嬉しそうだな?」
霧島は水島の嬉しそうな表情に気づいて質問する。水島はクスッと笑って、
「……のび太君、よかったなぁと思って。
ヒットを打った時ののび太君、今までにないぐらい嬉しそうだったもん。
最後の最後で、あんな笑顔を見れて嬉しかったの。行ってよかったなって。」
確かにあの時ののび太君は輝いていた。きっと、初めてあんな綺麗なバッティングをしたのだろうな。
それにしても……全く。なんでもっと時間がなかったんだ。
せめて喜びを分かち合う時間ぐらいあっても良かっただろうに……。
「……ああ、ちきしょー。もっと褒めてやりたかった!! 抱きしめてやりたかった!!」
「————誰を抱きしめたかったのだ? 霧島。」
————頭を抱え、唸り声を上げる霧島の背後から、いつの間にか帰ってきていた黒川が声をかける。
「うおぉッ!! いつの間にいたんだ!? 空気の黒川!!」
「誰が空気だ。やれやれ。水島、無事か?」
「うん!! あれ、黒川君? その分厚いノートは何?」
水島が指さすその先には、黒川の手にがっつりと掴まれている分厚いノート×2。
「ああ、研究結果を記したノートだ。もしもの世界に行く前からすでに持参していたものだ。」
「おまっ、どこにそんなノート隠してたんだよ!? 手品師か!!」
手品師というのはいささかどうかと思うが、まぁ若干謎を感じるのも分からんでもない。
これ、実は折りたためるノートなのだ。
持ち運びしやすいように、私が試行錯誤して開発した自家製ノートだ。
折りたためば、最小でハンカチぐらいになるぞ。ポケットにいれて持ち運べるほどだ。
さて、ドラえもんのところに行って、色んな情報を得てきたからな。
これを元に私の開発も大分進むことになるだろう。ドラえもんに感謝しなければな。
まぁ多分……ドラえもんは私の事を覚えていないと思うが。記憶に強く残る様な事をしていないからな。
記憶に強く残れば、きっと彼らは私達の思い出を覚えてくれているはず。強く残れば……な。
……いや、秘密道具を分解した時点で、記憶に強く残ってるか。まぁそれならそれでよし。
「よし、帰るぞ二人とも。————ん?」
黒川が二人を見ると、二人は『門』があった場所を一心に見つめる。
今はもうないが、その場所を見たまま、何やら嬉しそうな表情を浮かべていた。
“二人にとっても……嬉しい収穫があったのか。”
きっと、向こうで何かあったのだろう。それを聞くのは野暮というものだ。
これからも、私にとって何か意味のある冒険になるのだろうか……。
“楽しみだ。これからの冒険もな————”
黒川も霧島と水島の近くに立ち、しばらく三人で『門』があった場所を見つめていた————。
————場面は、建物の屋上に変わる。
謎の白い鎧を着た三人の前に現れたのは、まがまがしい闇を纏った誰か……。
「何の用だよッ、『DDD教団』ッ!!」
鎧を着た一人が声を荒げて言う。現れた誰かの身体から少しずつ闇が消えていく。
————そして徐々に姿を現し、現れたのは、眼鏡を着けて白衣を着た、男性。
身長は190程度。髪は青色の短めのボサボサヘアー。瞳の色は茶色。
白衣を着ていて、黒色の眼鏡をかけている。見た目は普通の人間と変わらない容姿と姿をしている。
だが、その身体から放つ威圧感、存在感は人の域から完全に抜け出ていた。
「おいおい、そんな人をバケモンみてぇな目で見んなよ。怪しい者では決してございませんぜ?」
白衣の男性の表情には何やら余裕を感じられる。不適な笑みが三人をピリピリとした空気にさせる。
「お前は、『ガロン・ヨルダン』だな?
かつて、世界でも有名な科学者だったと聞く。あくまでも裏社会で、な。
それはさておき、お前達の目的はなんだ? そして何しに来た?」
あくまで気を抜かず、注意を払って一人が言う。いつこちらに対して攻撃的になるかは分からない。
ちなみに、有名な割には彼についてはあまり明確な情報がない。
ただ分かっていることは、彼が今所属している謎の団体、DDD教団の一員だということだけだ。
未だ何を目的としているのか分からない団体。
だが、それが世界にとっては悪影響な事だということだけは分かっている。
「そんな質問攻めばかりすんなよ。おじさん分かんなくなるぜ。
まぁそうだな、詳しくは語れねぇが、ここに来た理由だけは教えてやらぁ。」
ガロンと呼ばれる白衣の男は相変わらず不適な笑みを浮かべる。そして一歩ずつ三人に近づいてくる————。
「————暇なんだわ。ちょっと遊ぼうぜ。」
瞬間、ガロンは殺気に似た視線を三人に向ける……!!
ピリピリと空気がその場を締め付ける様な感覚。ピエロの様に不敵に笑い、ライオンのように殺意を向ける。
“……こいつは『楽しもう』としている。今から始まる『戦闘』を……————”
————————第5幕 完————————