複雑・ファジー小説
- Re: もしも俺が・・・・。 ( No.50 )
- 日時: 2013/02/13 00:25
- 名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode
「パート2。」
「————さて、色々喋ってもらうぞ、ガロン。」
レオンとサラは一人目の元に集結し、ガロンと距離を取りつつ話をする。
もちろん、彼らは仕込まれた術式の範囲外におり、たとえ起動させても被害は食らう事はない。
元々、彼らはガロンを倒す気はなかった。
ガロンの動きを封じ、そしてある情報を聞き出すことが目的。その情報とは、
「……DDD教団について知っている事を話してもらおう。
お前らは何が目的だ。何のために動いている?」
『一人目』は相変わらず余裕の笑みを浮かべ、その場に座り込むガロンを見て尋ねる。
今の状況ではこちらが戦況をコントロールしている。レオンとサラも注意を働かせてスタンバイをしている。
座り込んでいるところを見ると、逃げるのは諦めたのだろうか……。
「あー、まぁ喋ってやってもいいんだけどよぉ……。
けどダメなんだなぁ。今じゃないんだなぁ……。」
ガロンは独り言を呟く様に言う。何か不気味で、おぞましい何かを肌で感じる。
「違うのよ。もっとこう、盛り上がるタイミングってやつがあんのさ。まだ序盤だぜ?
今俺らの目的やら何やらを言っちまったら、
読者様は急展開過ぎてついてこれないのよ。分かるかなぁ?」
ガロンは「よっこらせっと!!」という掛け声と同時にスッと重い腰をあげるように立ち上がる。
レオンとサラは警戒体勢に入り、『一人目』も術式を起動させる準備をする。
「まだ序盤よ。あせんじゃねぇ。焦らなくても、俺達が争うこたぁは必然なんだよ。
————その時また、会おうじゃねぇか、ガキ共よ。」
「……逃げられるとでも? 一歩でも動けば————」
瞬間、音もなくガロンは消える……。
まるで煙のように姿を消し、その場に冷たい風が通り抜けていく。
「……目標ロスト。ちっ、なんて速さだよ。」
「くッ……術式を起動出来なかったぐらい速かった。
まさか何の動作もなく超スピードで逃げ出すなんて……。
本当、底なしの強さを持っているな。ガロン……!!」
『一人目』はその場にストンと座り込み、パチンと指を鳴らし、術式を解く。
レオンとサラもその隣に座り込み、一息つく。ようやく気が抜けたようだ。
「……結局、何を言っているか分かんなかったね。」
「全くだぜ。何が読者様だ。あのヤローは小説家かなんかかよ?」
確かに、まるで意味深な事ばかりしか聞けなかった。
それに序盤……か。彼らの計画がまだまだ完成には程遠いということか?
いや、そもそもその計画とやらが何なのかが————
「————いや、それにしても、僕達がよく無事でいられたものだ。まずはそれで良しとしよう。」
『一人目』の口から、安堵の溜め息が漏れる。思い返して見れば、私達は非常にラッキーだった。
……はっきり言って、全滅も覚悟した。それぐらいの相手だということは前から知っていた。
ガロンは私達が思ってる以上に底のしれない相手だ。
多分今までの戦いは奴の本気ではない。軽く流していた程度だろう。
奴はかなりの気分屋であることも知っているし、
彼が本気を出せば僕達があっという間に全滅していたことも紛れもない事実だ……。
「これがバケモノの集まり、DDD教団か……。」
『一人目』は兜越しに深い溜め息をついて、物思いに更けた————。
「————おーい紫苑、間違いねぇのかよ? そろそろめんどくさくなってきたー。」
ある商店街の道、人の通りの良いところで、男の子の声が響く。その男のとは……柿原召だ。
召の視線の先には紫苑がいて、紫苑は何やら真剣な表情で辺りを見渡す。
“むー、タロットの占いで、この辺で『何か』が起きてるって出てたから来たんだけどなぁー。”
ボクの占いは外れることはない。それは断言できる。ゆえに何かが起きているのは確かなのだ。
だが紫苑はその何かが分からず、思わずため息をつき、肩を落とす。
そんな紫苑を見て、召はやれやれ、と呟き苦笑する。
「はぁー残念、せっかく楽しそうな事が起こるんじゃないかって思ってたのにー。」
「ほぉ。では、お嬢ちゃん。俺様が楽しい所に連れて行って差し上げますがどうですかい?」
「ええー、召クン。どこに連れて行ってくれるのー?」
「……おい、今の言ったの俺じゃないぞ。そいつだ。」
「え?」という情けない声と共に、紫苑は召の指さす方を見る。
————そこには、二人とも見覚えのない青年が、ニコッと笑って立っていた。