複雑・ファジー小説

Re: もしも俺が・・・・。 ( No.56 )
日時: 2013/02/13 01:04
名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode



     ————第7幕 『もしも俺がアンドロイドの世界に行ったのなら……。』————



          「パート1。」




  ————皆様は、今私達がいる場所を当てることが出来るだろうか?


  教室、違うな。公園、それも違うな。
  水島の自宅、残念ながらそれは今の私では無理だ。


  多分、誰も私が今どこにいて、どこに立っているかが分かるまい————。




   「……なぁ、黒川。なぜこうなった。」


  私の隣には霧島がいる。霧島の表情は明らか不機嫌そのもの。そりゃあまぁ、そうだろうな。

   なんせ、私達がいるところは……




   「なんで俺ら『砂漠』に迷い込んでんだよッ!?」



  そう、『砂漠』なのだから————。









   ———— 一分前の事……。とある一室の教室の放課後の事……。



   「『アンドロイド』? どっかの携帯の機種かぁ?」

   「バカか、霧島。『アンドロイド』とは、簡単に言えばヒューマノイド・ロボットの事だ。」


  アンドロイドの事を良く知らない霧島に、黒川は簡潔に説明する。
  なんで今こんな話をしているのかというと、これから『もしもの世界』に出かけるつもりだからだ。

  黒川はドラえもんの世界に行き、ドラえもんに出会ったことで、ロボットというものに興味を持った。
  これを自分の発明に使えないか、と思い、行くことを決意したのだった。


   「んで? 今回はその『アンドロイドの世界』に行くのか?」

   「そうだ。一応誘ったが……来るか? 水島は無理なようだ。」


  霧島は座っていた椅子を蹴飛ばし、勢いよく立ち上がる。おい……物を大事にしないか。


   「もち、行く!! 紫苑ちゃんと召は?」

   「今日は来ることができないらしい。二人だが、不満か?」

   「んなことねぇよ。さっさと行こうぜ!!」



  と、いうことで、その後以前と同じ公園に行き、
  黒川は手を前にだし、目を閉じる……。

  キーワードは『アンドロイド』。立ち位置は無し。細かい設定も無し。ほとんどお任せだ。


   そして呪文を唱える————。



  “Information search————。Open、Possibility Gate ————”
  (情報検索————。もしもの扉、今ここに開きたまえ————!!)



  開く光の扉。輝く光が差し込んでいる。そして私達は門を潜っていく……。



  ————とまぁ、ここまではよかったんだ。


  だが、目を覚ました時、そこはなんともシンプルな場所だった。

  踏んでいる地面は『砂』で、砂の地面が辺り一面に広がっていて、いくら見渡しても同じ景色。
  風によって砂が舞い上がり、まるで雨のように砂が降ってくる。そう、ここまで言えば分かるだろう。



  ————私達は砂漠のど真ん中に飛ばされたのだ……。そして今に至る。





   「今に至る、じゃねぇ!! これまずいぞ! 
    何もしねぇまま、ただ砂漠を歩くだけで終わっちまうぞ!?」

   「落ち着け霧島。私も今打開策を考えている。」


  さすがに今回ばかりは、霧島の言っている事が正論だ。
  30分ただ砂漠を歩くだけの物語なんて誰特なのだ。

  これじゃあアンドロイドうんむん以前の問題だ。時間を無駄にしてしまう。それだけは避けたい。
  だけど、だからといって打開策が簡単に浮かぶわけではない。はっきり言って、もうどうしようもない。
  運よく砂漠の端っこで、近くに町があるとかならいいのだが、残念ながら見当たらない。皆、同じ景色だ。


  “……困った。非常に困った。これはもうどうしようも————”



  その時、黒川は何かを見つけた……!!

  遠目で見てみると、車?みたいなものが見える。誰かが操縦し、誰かが乗っている。



   「霧島!! あれを見ろ————って、はやッ!!」


  黒川が指さす前に、すでに霧島はその車の存在に気づき、すでに助けを求めに走っていた。
  マッハレベルのスピードで遥か彼方の車を追いかける。アイツ……世界陸上出れるんじゃないか?

  霧島がどうやら遥か向こうで車を捕まえたようだ。黒川はそれをゆっくりと歩いて追いかける。
  遠くて声が聞こえないが、何か話しているようだ。……と思ったら、霧島が全く口を開かなくなった。
  私には声は聞こえない。ただ口を見ていると、霧島が何かを喋っている様子はない。
  ただ一方的に操縦者が喋っている。それをただ見つめる霧島。


  “……とりあえずよく分からんが、後で霧島に聞けば分かるだろう。”



  3分後、ようやく私は霧島が捕まえた車のところに到着した。

  どうやら本当に車だったようだ。だが普通の車ではない。タイヤがなく、若干浮いている。
  空気を放出して車を浮かす、ホバー式の乗り物のようだ。

  ……珍しいな。詳しく調べてみたいところだが、今は我慢しよう。
  そしてとりあえず、霧島に話を聞くことにする。



   「でだ、どうなった? 乗せてくれるって?」

   「……ああ。」

   「————? 妙に元気がないな。どうしたんだ?」


  さっきまでギャアギャア騒いでだ霧島が、こうも静かになると不気味というもの。
  走って疲れたのか? いや、そうじゃなさそうだ。もっと別の理由みたいだ。


   「まぁいい。とりあえず乗せてくれるんだろう? お言葉に甘えて乗らせて頂こう。」

   「お兄ちゃんがオトモダチ? ティアナの車にようこそぉ!!」




  ————ヒョコっと車から顔を出したのは、一人の女性。


  見た目は俺たちより年上だろうか? 大人っぽくてスタイルもかなり良い、大人の女性といった感じ。
  腰ほどまである長いレモン色な髪、透き通ったサファイヤみたいなきれいな瞳をしている。
  あっさりしたワンピースを身にまとっている。白く透き通った綺麗な色合いをしている。



   「ああ、そうだ。————ん? 人間か?」

   「そうだよぉ? ティアナはニンゲンだよぉ!!」

   「ティアナ? ティアナって誰だ?」

   「え?だあれって? ティアナ!!」


  そう言って、女性は自分を指さして言う。どうやら彼女の名前が『ティアナ』というらしい。


  “————ん? 待てよ。人間? なぜ人間がこんなところにいるのだ?”


  ここは『アンドロイドの世界』なはず……。人間が存在するわけ-————。




   「・・・黒川、話したいことがある。」


  ふと、後ろから霧島が口を開く。何か真剣な決意をした表情であった。
  とはいっても、霧島がなぜこんなに真剣な表情なのかが私にはさっぱりなのだが……。


   「どうした霧島。話してみろ。」

   「俺はな……決めたわ。人生で最初で……最後の決断をしたわ。」


  そう言われてますます訳が分からんと混乱する黒川。
  さすがの彼にも全く持って霧島の考えてる事が読めない。


  そして……その一言はあまりにもぶっ飛んでいた————!!!







   「俺は————この子を嫁にもらう。」




  ————————。




















  ————なんだってぇぇぇぇーーーーーーーー!!!!!!