複雑・ファジー小説

Re: うつせみ。 ( No.4 )
日時: 2012/12/04 22:40
名前: ぺどにゃん ◆KZUykuyj2A (ID: CFE7lDA5)

*01/


「…う」
「あら、目が覚めた?」

うっすらと視界に入ってきた、見知らぬ天井。
…と、見知らぬおんなのひと。
着物を纏い、長い黒髪をポニーテールのようにしてまとめている。
優しそうな濃いブラウンの瞳の、まさに大和撫子って感じの美人。

「ほんとうちの愁ちゃんがごめんなさいね。すぐに連れてくるから」
「え、ちょ、待っ」



こ こ ど こ で す か ね !?



そう聞くより早く、その人は申し訳なさそうに笑いながらその場を去った。


ぽつん、と取り残されたわたし。
どうやらこの部屋は和室で、わたしはご丁寧にもその中央に置かれている。



「…とりあえず落ち着け落ち着け……って落ち着けるかァァァァ!!!」


今の状況含め、わかんないことが多すぎる!
わたしの脳みそ完全キャパオーバー。

けだるさも忘れて瞬時に身体を起こし、あたりを見渡す。
だだっ広い和室は質素なもので、部屋にあるものといえば掛け軸のみ。





「なんかの道場とか————————————…?」

バンッ!





突然部屋に響く、ふすまを思い切り開ける大音量。

思わずその方向に目を向けるとそこにいたのは———————



















「伊…織…?」











目の前に居るはずの無い、あなただった。