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複雑・ファジー小説
- Re: うつせみ。 ( No.8 )
- 日時: 2012/12/20 20:43
- 名前: ぺどにゃん ◆KZUykuyj2A (ID: CFE7lDA5)
*03/
「オマエ誰?あとなんでウチにいる?」
いかにも怪訝そうな顔で私を見つめる。
半端ない威圧感を目の当たりにして、思わず生唾を呑んだ。
「り…くり。杉浦陸里。なんでここにいるかはわかんない」
ぼそり、と蚊の鳴くような声で答える。
「…へー、くりくり?変な名前だな」
「くりくり違ェよ!!陸里!!陸里だから!そー呼ばれんのホント嫌なの!!」
…いじめられてた時の事を思い出すから。
「っとまぁ、オマエこの辺の人間じゃねえみてーだけど…」
「えっちょっと待って何なのヨソ者だからって殺す気?」
「バーカ」
ぺちん、と軽く頭をこづかれる。
ひどい。女に暴力っていけないのよ。
「傷の手当て。化膿したらどうすんだよ」
ひょい、と軽く腕を持ち上げられる。
自分でも気づいていなかったけど、左手首に深い切り傷があった。
たぶん、木の枝かどこかで引っ掻いたんだろう。
「話は向こうで全部吐いてもらっけど。まぁオマエ敵の手先じゃなさそうだし」
さほど痛みも感じさせずにパパッと手際よく包帯が巻かれていく。
カンジ悪い奴だけど、結構手馴れてるなぁーと思わず感心してしまった。
「…ん、完了」
手当てのシメと言わんばかりに突然傷口をポンと叩かれる。
「い゛っ!?」
「あと姉貴が風呂沸かしてるみてえだし、先そっち入ってこいよ」
ふっと立ち上がり、わたしに背中を向けたままそれだけ言い残す。
着流しから香るゆずの香りは、伊織のものとは全く違うものだった。
あれ…
意外と…いい奴…??
「…あ、ありが「それにオマエみたいな奴雇ってもなんの役にも立たねえだろうしなー」
…そのハネ毛引きちぎってやろうかァァァ!!!!
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