複雑・ファジー小説
- Re: うつせみ。※キャラ設定&画像公開中! ( No.10 )
- 日時: 2012/12/20 21:35
- 名前: ぺどにゃん ◆KZUykuyj2A (ID: CFE7lDA5)
*04/
「…ふぅ」
わたし・杉浦陸里は、今生まれて初めての五右衛門風呂に入浴中。
「早く帰りたいなぁ…」
脱衣所から借りてきた手ぬぐい(タオルは無かった)でじわりと滲んだ汗を拭きながら呟く。
「携帯は泥のせいでオダブツだし、公衆電話も無いし……いっそのこと伝書鳩でも送ってやろうか…」
そんな事をぶつぶつ呟いていると、外から先程の黒髪の女性の声が聞こえた。
「お着替え、私のお古でよかったら使って?ここに置いておくから」
「あっ…すいません」
「あとご飯も用意したから後で食べてくれると嬉しいわ。じゃ、ごゆっくり」
なんて優しい人なのだろう、と心の中で涙した。
道に(おそらく)ぶっ倒れていた私を介抱してくれただけでなく、
ご丁寧に風呂と飯まで用意してくれているのだ。
あんな人、今の現代において天然記念物に値すると思う。
「あの人がアイツのお姉さん…いやいやいやいやそれはない」
似ても似つかなすぎる(主に性格が)!!!
アイツにくらべてあの人は美人だししっかりしてるし優しいし…etc
…やばい、のぼせてきたかな。
ご飯も作ってくれてるみたいだし、あんまり待たせるのもよくないよね。
「っよし、そろそろあが——————————————」
そう呟き片足を外に出した、その時。
「…へっ?」
「…は」
ガラッと引き戸を引く音が聞こえたかと思うと、目の前には見知らぬ少年の姿。
腰に手ぬぐいこそ巻いているが、それ以外は何も身に着けていない。
相手の顔がどんどん引きつっていく。
自分の思考回路は完全にショートしたみたいだ。
フリーズした脳内で懸命に状況を整理してみようとするけれど、どうやらもう手遅れ。
「ぎゃ…」
「えっ!?うわっ、ちょっ、ごめ…!!」
「ぎゃああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
その後もう一人の悲鳴が浴場にこだますまで、あと数秒。