複雑・ファジー小説
- Re: OUTLAW 【参照1000越えお礼企画募集中☆】 ( No.111 )
- 日時: 2013/04/01 23:41
- 名前: Cheshire (ID: f7CwLTqa)
迷いながらもとりあえず更新しますw
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「あぁ、やっぱり。灯ちゃんはここにいたんだね・・・あれ、凪くんまで。どうしたんだい?」
「理人さん!お久しぶりです。えっと、灯ちゃんにお財布取られちゃって」
「またいじめられているのかい?大変だ「何の用?」
真夜と別れたあと、僕は4階をスルーしてそのまま渡り廊下を渡って一学年の校舎へと行き、ひたすらに階段を上った。当然、そこにあるのは屋上。
普段、高嶺高校の屋上は立ち入り禁止になってる。授業や行事で使う場合は許可を取った上で立ち入らないといけない。
屋上が立ち入り禁止になったのは僕が高嶺高校に入学する1年前から。つまり、真夜についさっき話した黒宮綾が入学した年。その時から、自殺未遂者が多くなり、学校側が問題として屋上を封鎖してしまったらしい。
でも、第1学年校舎の屋上は、毎日昼休みから5時間目に掛けて解放される。
それは、アウトロウの問題児、杵島灯が、同級生であり生徒会の副会長1年の役割を担う蓮井凪という少年に、無理矢理鍵を開けさせているから。
どういうことかはあまりよく知らないが、弱みか何かを握られているらしく、凪くんは灯ちゃんに頭が上がらないらしい。
昔はそんなんじゃなかったんだけど、あるときからいきなり灯ちゃんが凪くんをいじめるようになって・・・。当然、凪くんは1度も灯ちゃんに反抗したことはなかったけどね。
彼が生徒会役員になったのだって、灯ちゃんの差し金らしい。まぁ確かに「生徒会」に与えられる特権はいろいろ都合がいいから、そうさせたくなるのも無理はない。現にこうやって屋上の鍵を保管させて自分が使いたいときに開けさせているのだから。たまに僕も、借りてるんだけどね。
僕と凪くんは、何とも言いがたい関係だった。凪くんは、僕の幼馴染だった人の1つ下の弟なんだ。眼鏡を掛けてて少し暗いって思われがちだけど、実は結構かっこいい顔立ちをしていることも知っている。ちなみに本人には伝えていないけど、彼の掛けている眼鏡が伊達だということも知っていた。大方、昔それで女の子に群がられたことがちょっとしたトラウマになっていて、それの回避術なのだろうと僕は勝手に思っている。
灯ちゃんとは、まだ付き合いが浅いけど、実はアウトロウになる前から知り合いなんだ。その頃からあまり好かれてはいなかったけど・・・。
どうにか仲良くなろうとは思っていたんだけど、彼女はあまり他人と親しくならないらしい。もう数年経ったけど、まだ少し慣れない。
「情報だよ。真夜から回ってきたんだ」
今は授業の時間だけど、気にしない。放課後は早めにアウトロウへ帰んないといけないし、あまり女の子を待たせるのも居心地が悪い。仕事はすぐに片付けてしまうのが僕の主義だった。
灯ちゃんはもともと勉強ができる子だし、いつも授業を受けるかは気まぐれで決めているみたいだ。凪くんについては、彼女に振り回されているとしか思えない。
この2人には、先生たちもお手上げ状態らしい。だが、何故かいつも悪く言われるのは灯ちゃんで、凪くんは「生徒会」という名前が利いているのかあまり評判は落ちない。彼は元々真面目だから教師たちの信頼が厚いのも影響しているのだろう。そう思うと、少し灯ちゃんが可哀相になる。
「3年生で、また1人行方不明者が出た。名前は如月美羽。知っているかい?」
「知っているわけないでしょう。当たり前のことを聞かないで」
クラスの人でさえ覚えてないんだ。2年も上の生徒を覚えてるわけがない。
全く。いろんな女の子と関わってきたけど、僕の前でこんな態度を取るのは灯ちゃんくらいだ。
「まぁ、とりあえずその子のことで少し話しがあるんだ。今日の放課後は、凪くんの家に寄らないで真っ直ぐ帰ってきてね」
「何で?」
「学校に忍び込む必要があるかもしれないから」
「・・・チッ」
女の子には舌打ちってあまり似合わないと思うんだけどな・・・。灯ちゃん、この頃舌打ちが増えてきたし。何だろう、苛々してる気がする・・・。
灯ちゃんは毎日放課後に凪くんの家に寄ってからアウトロウに帰ってくる。理由はいつも適当なものだが、ちゃんとしたものが彼女の中にあるのだろう。
大体の予想はつくが、彼女のためにも口に出すのはあまりいいことではない。
「私には全く関係のないことなのに」
「アウトロウである限り、関係はあるよ」
「誰がどこで死のうが、私には関係ないわ」
「灯ちゃん」
そこで声を上げたのは、俺ではなく凪くんだった。
「今のは、聞き捨てなら無いな?」
表情こそ穏やかだったけど、凪くんの声はかなり冷たかった。
確かに彼にとっての彼女の今の言葉は、かなり心に響いたことだろう。
あまり深くは言えないが、僕も今のには多少傷ついた。
だって、彼女は。
「・・・あなたにそんなこと言われる筋合いはない」
その意図を察した上で、灯ちゃんはきっとそういう言い方をする。でも、少し悲しそうに顔をしかめたことを、僕も凪くんも見逃さなかった。
風が吹いた。
梅雨の時期で、随分生ぬるい風だったけど、僕らの会話を途切れさせるのには充分だった。
細い灯ちゃんの身体が風に揺られて少しふらついた。だけど、すぐに身体を立て直して必死に風を堪える。
そんな彼女を見ているのは辛かった。
彼女は、自分の弱さを隠す。
それが彼女の望みなのなら、僕や凪くんはその弱さに気付かないフリをする。
でも、僕たちが初めて灯ちゃんを見たときは、彼女が一番弱っているときだった。
あの異臭を放つ暗闇の中、家具や食器の残骸に埋もれて1人泣いていた彼女。そして、その彼女が見つめるその先———・・・。
今思い出しても吐き気がする。あの状況は異常だった。尋常じゃなかったんだ。
そんな中にいた彼女が、普通になれるはずもなく。
彼女の感情は歪んで、曲がって、直線からかなり外れてしまった。
必死に直線に直そうとした子のおかげで、少し戻りかけていたのに、あんなことになってしまって、彼女はもう再起不能な状態。
だったら、少しでいいから彼女の願いを叶えてあげたい。
凪くんがどう思っているのかはよく分からないけど、僕にとって灯ちゃんは守る対象だった。
もしかしたら、守りたかったあの子の代わりにしてしまっているかもしれないけれど。
「ねぇ。あなた、いつまでここにいるつもり?空気が悪くなるから、早く出てってくれない?」
「ん、分かった。じゃあ、今日は早く帰ってきてね」
無駄だとは分かっていても、とりあえず2人に手を振る。凪くんは笑顔で返してくれたけど、灯ちゃんは僕を睨んできただけだった。
いつか、彼女を助けてあげられたらいいのに。
はい、今回は理人verです!w
多少不安が残りますが、こんな感じで大丈夫でしょうか?
番外編については、少しお時間をいただく形になってしまいますが、本編制作と共に地道にやっていきたいと思います。
だから、突然番外編を実施し始めるかもしれません。許してください。お願いします
ってなわけで、こんな我儘を言ってしまっているので・・・
とりあえず何かしてみてほしいこととか聞いてみたいこととかやってみてほしいこととかあったら、いっぱい言ってくださいっ!できる限りでチャレンジしてみたいと思いますww
というわけで、よろしくですw