複雑・ファジー小説
- Re: OUTLAW 【んーと、いろいろ受付中?w】 ( No.131 )
- 日時: 2013/04/07 23:00
- 名前: Cheshire (ID: f7CwLTqa)
まぁ、確かにそんな遅い時間に女の子を歩かせるのはあまり気が進まない。7人の半分の4人で、丁度いいくらいだろう。
学校に忍び込むなんて荒業俺はやった事ないけど・・・何か面白そう。とか思うのは不謹慎だな、やめよう。真面目になんないと。
「でも、矢吹さんは大丈夫なんですか?」
ふと社井が俺に言葉をかけた。
「え、何が?」
「だってまだ来たばかりなのにいきなり学校に忍び込む、だなんて」
・・・あぁ、そういうことか。
まぁ確かに言われてみれば、不安がないわけでもない。
でも、そこそこの悪さはやってきたわけだし・・・。
・・・けど、ここは社井の優しさを受けるべきか・・・?
「真夜くんは強制参加」
とか考えていたとき声をあげたのは真だった。
強制参加って、何か無理矢理って感じで気に入らない。
「狛くんの言うとおり真夜くんのじゃまだ早いかもしれないけど、だからこそ、早く慣れてもらわないと困るからね」
社井は何か言いたげだったが、真が言うことも一理あるのでとりあえず黙っていた。
こればっかりは真に反抗する意思は無い。俺だってこれからここでやっていくんだから、早く物事に慣れたいって思う。
結構慣れたっぽくなってるけど、それはみんなが優しいからであって本当はまだぎくしゃくしている感じがある。
多分表面的にはもう充分だ。だけど、根本的な意味では俺は、いや、俺たちはまだ全然馴染めていない。
他人の過去に触れないのは暗黙のルールになっているみたいだから詮索する気はないけれど、何というか・・・やっぱりまだ壁みたいな距離がある気がする。
何というか・・・それはやっぱり寂しいかな。
そのためにも俺は早くアウトロウの仕事に慣れないと。
「じゃあ、決まりだね。空悟と真夜と狛と僕の4人で今日は行こう。8時半過ぎに多岐谷行きの電車が来る。それに乗り遅れると帰ってこれなくなっちゃうかもだから、8時半にはここを出る。いい?」
「おう」
「了解」
「分かりました」
と口々に答える俺たち。
行かない事になった女子たちの反応もそれぞれだった。
梨緒は相変わらず何を考えているのかよく分からず、用意されていた飲み物の中の氷を見つめているだけだった。何だろう、溶けていく過程が面白いのだろうか。
璃月も相変わらずというか何というか複雑な感じだけど椅子をくっつけて社井の膝に頭を乗せていた。あれだろ、よく言う膝枕って奴だろう。いや、羨ましいなとか何やってんだこいつらとかは思わないけどさ、何かそう・・・本当に15歳か?って感じだ。
・・・杵島は・・・興味なさげに携帯をいじっていた。こいつも全く変わらず態度の悪い奴だ。
「よし。じゃあ・・・そうだね。一応真夜くんもいることだし、いつものことだけど気をつけてね。んじゃちょっと僕用事あるから、じゃあね」
「はぁ?」
声をあげたのも束の間、真は俺に満面の笑みを向けると玄関のほうへ歩いていった。その端整な笑顔もただの皮肉にしか見えない。
真が立ち上がりいなくなったことで、とりあえずということでお開きになったらしい。
「あ、3人はまだちょっとあるから待ってね」
だが、俺らは理人にそう言って呼び止められてしまったため、その場に立ち止まった。
この段階でもう梨緒と璃月は自室に戻っていいのだが、何故かそこから動こうとしなかった。
別にいても困らないだろうし、どっちでもいいんだけど。
だけど1人だけ空気を読まずに立ち上がった奴がいた。
杵島灯だ。
「灯ちゃん、どこか行くの?」
今この状況で杵島に話しかけることができるのは、理人だけだ。
杵島がここで浮いていることは来た日にすぐ分かった。学年が違うから学校でどうなのかはよく分からないが、おおよその見当はついているつもりだ。
そんな杵島と理人は何故か仲がいい・・・と言っても、理人が一方的によく話しかけるだけなのだが・・・兄妹みたいなそんな感じに見えた。性格は180度違うけど。
「あなたなんかに言う意味ないでしょ。こんなに早く終わるんだったら帰ってこなくたってよかったじゃない」
「まぁ、仮にもアウトロウの連絡だしさ」
杵島の態度に苛々せずにそのまま普通に接し続ける理人を見て、俺はいつも凄ぇな、と感心する。というか尊敬する。もし俺ならこいつが男だったら迷うことなく殴ってる。
真面目に受け答えされた杵島は何も答えることができずにいた。そりゃそうだ、否定したら自分はアウトロウではないと言うことになってしまうのだから。
「凪くんの家でしょ?行っておいで。でも、7時にはご飯だからちゃんと帰ってくるんだよ?」
ほら、やっぱり兄妹っぽい。
現在地獄は6時過ぎ。飯まではあと1時間ほどある。その間杵島はどこに行くんだろうか?
凪、・・・というのはこいつの友達か?・・・いや、そもそも友達がいるのか、こいつは。
となると、凪っていうのは誰なんだろう・・・と、疑問に思ってしまったので、あとで理人に聞いてみよう。杵島に直接聞いて答えてくれる気がしない。
杵島はいってらっしゃいとにこやかに手を振る理人を一瞥し、無言で外へ出て行った。
「さーて。役割分担しよっか」
溜息を1回吐いてから、理人は振り返りながらそう言った。疲れてるだろうに、よくできた奴だ。
理人は椅子へと戻ってくる。何となく俺だけ席が離れていたので、話しづらいと思い梨緒の向かいの高嶺の席に移動した。
「まぁ、役割って言っても今回はプールの更衣室だけだから・・・んー、逃げ道を確保する奴1人と、警備員の注意を引く奴1人、あと直接更衣室に忍び込む奴2人に分かれよっか」
確かにそれは適切だった。行き当たりばったりよりは信頼できる。
「とりあえず、狛くんは実行犯決定ね」
「え、何でですか?」
「もしも誰かに見つかった場合、女子更衣室に男がいるより女がいるほうが何かと言い訳が利くでしょ」
「・・・そうですね。分かりました」
複雑だろうなぁ・・・。と思いつつ、反対してやれないことに罪悪感が募る。
ある意味、社井の容姿はいろいろ役に立つんだろうなぁ・・・例えばこういうときとか。本人からしたらただのコンプレックスに過ぎないだろうけど。
「じゃあ俺逃げ道確保するよ。警備員には顔割れてるし、俺女子ってよく分かんないし。狛と行動するのは理人がいいんじゃないか?」
申し出たのはもちろん俺でも理人でもなく空悟だ。
んー・・・女子の忘れ物やら何やらを調べるんだとしたら、女子の思考回路をある程度知っておいたほうがいいんだろうな。空悟の言い分からして。そうすると、社井と行動するのは理人がいいんじゃないだろうか。俺はこの16年間女子とは全くもって接してこなかったわけだし。
「俺はそれでいいけど・・・真夜は大丈夫か?」
「ん?何が?」
「そこは心配しなくて平気だぞ、理人。真夜は喧嘩凄く強いから」
「マジで?」
「おう」
え、何、喧嘩すんの?そっちのほうがマジで?
いや別にいいんだけど・・・。
それに女子更衣室に入る役割より、邪魔者排除するほうが性に合ってる気がするし。
「んじゃ、いいか・・・」
空悟に言われて理人は少し心配しくれているような眼差しを俺に向けながらも納得したようだ。
「あのさ、俺って具体的に何をすればいいんだ?」
ふむ・・・・・こんな感じでいいんでしょうかね・・・?