複雑・ファジー小説
- OUTLAW 【参照2000ありがとうございますっ!!】 ( No.204 )
- 日時: 2013/07/07 23:11
- 名前: Cheshire (ID: f7CwLTqa)
わぁーっ!!!
空悟くんエピソードありがとうございますっ!!
さすが007さんです!凄いです!やばいです!!
少し本作のも取り入れてくれたみたいで、凄く助かります、ありがとうございますっ!嬉しいですっ!!!
どうしよう、めちゃくちゃテンションあがりました・・・ww
とにかくありがとうございます^^w
ルルさん、お久しぶりです、お元気でしたか?w
受験に部活、頑張ってくださいっ!応援してますww
チェシャも続き書くの頑張りますねっ!!
ってなわけで続き!
視線を向け、そこにいたのはキャップを被った・・・やっぱり性別がどっちか分からない奴だった。
帽子の影になって顔つきまでは見えなかったけど、醸し出す雰囲気は少し怖いと感じれる。
ジーンズにTシャツという必要最低限の服装しかしていないので、服から判断するのも難しかった。
肩にかかる大きめなカバンの中のスケッチブックが異様に目立っていて、少し気になってしまう。
「相手が困ってんの、見て分かんねぇの?」
俺と一緒の乱暴な口調から、何となく男かなとは思ってみるものの、別に女でもおかしくはない。
「なぁに、いきなりー?あ、もしかしてお兄さんも一緒に遊びたいのー?」
「は?誰が。俺がお前みたいな奴とつるむ訳ねぇだろ」
女は男と認識したようだ。というか一人称も「俺」だし、多分男でいいんだろう。
にしても珍しい奴だ。
夜のこの場所なんて、別にこんな奴がいてもおかしくないだろうに。
「お前毎日ここにいるだろ。違う男ひっかえとっかえして、馬鹿じゃねぇの?見てて不快になんだよね」
「なっ・・・」
・・・かなりな直球コメントに俺も唖然としてしまう。
呆けた表情だった女の顔が、みるみるうちに赤く染まっていく。明らかに怒りが溢れていく。
「最っ低!こんな無神経な奴、こっちから願い下げよ!!」
俺の腕を投げるように離した女は、ずかずかとどこかへ歩いて行ってしまった。
とりあえず助かった・・・。
「大丈夫か?」
彼(もしくは彼女)は俺に向かってそう尋ねてくる。
「あ、あぁ。平気、ありがとな」
とりあえずそう答えながら、女に引っ張られて伸びた服を直す。
そこで、彼がジーッと俺のほうを見てきていることに気付いた。
何だろう、別に今の時間帯なら俺みたいな奴も珍しくないだろうに。
そもそも、ナンパを助けるこいつのほうが珍しいくらいだ。
「・・・何?」
耐えるに耐え切れなかった俺は、助けてもらったのに礼儀知らずかなと思いながらも尋ねてみた。
「いや・・・・書いてみたいなー・・・って」
「え?」
「あ、なんでもない」
すんなりと本当に何も考えずに口に出たらしい言葉を、彼はすぐに否定したが最早意味を成さない。
「何」
多少イラついて言葉が尖ってしまったのは不可抗力だ。
彼も何となくの空気で悟ったらしく、気まずそうに視線を逸らしたあと俯きながら小さな声で呟いた。
「俺、絵書くの好きで・・・いつもは風景とかしか書かないんだけど、今初めてあんたを書いてみたいって思えたから・・・」
どこに恥ずかしがる要素があったのか俺には今一よく分からない。
絵とかに興味を持ったことは1度たりともないのであまり知らない。とりあえずこいつは、今まで風景しか書いてなかったのに初めて人物を書きたくなったということだろうか。
それの何がいけないんだろう?
でも、書いてみたい、って具体的に俺はどうすればいいんだ?別に書かれるだけなら俺に害が加えられることでもないし、普通に書けばいいのに。
・・・あぁ、でもナンパを助けるくらいだから、そこらへんは律儀なのか?本人の許可がないと駄目とか何とかそういうの。
「別に書いていいんじゃね?」
結局あの宿題女が言ってたヒントってやつもよく分かんないし、時間もまだある。せっかく出かけたのだから、少しくらい寄り道したって平気だ。
「本当か!?」
俺が承諾した途端に、彼は顔をあげた。さっきより明らかに興奮しているような感じで、少し戸惑ってしまった。
よく分かんねぇ奴だな・・・と思いながら、俺は少し引き気味に「お、おう・・・」と返事をする。
「そこの噴水に腰掛けてくれるだけでいいから、あとは出来る限り動かないでくれ」
そう言い捨てると彼は少し離れた椅子へと走る。
椅子に座ると肩にかけたバッグからスケッチブックを取り出し、その後手を突っ込んで中から古ぼけた鉛筆も出した。
片膝を立ててスケッチブックを固定して、本物の絵描きのように彼は鉛筆を滑らし始めた。
俺は別にポーズを取っているわけではなく、普通に造作もなく座っているだけだ。本当にこんなんでいいのか不安になってくる。
ただ、彼の眼差しが真剣そのもので、だんだん俺自身が緊張してきて。
いてもたってもいられなくなった俺は、彼に話しかけることにした。
「そういやお前、何でこんなとこにいるんだ?」
「別に。家ねぇし」
「は?」
「親いねぇんだ、小せぇ頃捨てられたから。それからずっと1人」
・・・。あまり聞かないほうがよかったのかも。
つか、重い話題をよくもこんなにさらっと・・・。
「同情とかすんなよ?いらねぇし」
「あぁ・・・」
同情とかする気はないけど・・・。
何か、うん・・・気まずい。
「そういうお前は?何でこんなとこにいんだよ」
「んー・・・ちょっと学校のことで少し」
「もしかして、高嶺高校か?」
「何で知ってんだよ?」
高嶺高校の一般生徒、教師さえ知らないことを、外部の人間が知っているわけがない。
一瞬で、俺はこいつを警戒するように睨んだ。
今の一言で、彼が生徒行方不明事件の関係者である可能性が一気に上がったからだ。
「昨日会った女も言ってたからな」
「女?」
アウトロウのメンバーが言うわけがない。ただでさえ女と言ったら梨緒と璃月、杵島だけだ。あいつらが秘密事項を外部の人間に言うとも思えない。
となると誰が・・・?
・・・閃いた可能性は1人。
宿題女だ。
もしかして、宿題女が言ってたヒントっていうのはこいつのことなのか・・・?
いや、まずはこいつがあの宿題女から何を聞いたかだ。内容によっては宿題女と決め付けるのはまだ早い。
「そいつ、何て言ってたんだ?」
彼の動かす鉛筆がピクと止まった。
何で止まる必要がある?そんなに人に言いにくいことなのだろうか。
でも、だからといって聞かないわけにもいかない。
あの宿題女は情報源だ。提示してくれた情報を逃すわけにはいかない。本来なら、あいつに直接聞くのが手っ取り早いのだが、・・・何となく、できそうにない。
「頼む、教えてくれ」
「分かったから動くな」
今自分が書かれていることを思い出し、立とうと浮かせてしまった腰を再び噴水に座らせる。
彼はスケッチブックから俺に視線を向け、鉛筆をくるくると回しながら口を開いた。
「その事件の犯人、俺の父親らしいんだ」
「・・・・・・・は?」
こいつが、犯人の子供?
「嘘・・・だろ?」
つい信じられなくて、思ったことを口に出してしまう。