複雑・ファジー小説

OUTLAW 【参照2000ありがとうございますっ!!】 ( No.222 )
日時: 2013/07/26 10:28
名前: Cheshire (ID: f7CwLTqa)

本当に長くなってしまい、申し訳なく思っています・・・orz

次回っていうか、次章(?)からは手短にまとめることを心がけていきますので、暖かく見守ってください。お願いします。


ですね、もうすぐ終わりそうです。またこれが全部つなげるのが大変そうで、少し手こずってしまっているのです・・・。更新が遅れてしまい、もどかしい気分です^^;

応援ありがとうございますw そう言っていただけて何よりです。w


というわけで、本編の続きです















 真夜くんや空悟、梨緒ちゃんは、何も言わなかった。

 無駄にはできない。

 こんな小さい子の頑張りを、無駄にできない。

「明日探そう。この資料を元にすれば、見つかるかもしれない」

 そう言うと、みんな無言で頷いた。

 さて、じゃあ明日に備えて寝ようか。

 と声をかけようとすると、ポケットの中の携帯が突然震えた。

 もう夜も遅いのに、と思いながら携帯を開くと、蓮井凪くんからのメールだった。


『報告です!

 1年6組の天内小夜さんが拉致されました。
 他にも目撃者がいるので噂の広がりようが尋常じゃありません。
 学校も早急に対処するはずなので、動きにくくなるかもしれません。気をつけてください。

 灯ちゃんにも連絡が行ってるはずなのですが、きっと言ってないと思うので一応言っておきました。

                             夜分遅くにすみません。蓮井凪』


「・・・え」

 冷や汗が伝った。

 どうした?と聞いてくる周りに向かって、雑に携帯の画面を見せる。

 みんなの顔が青くなる。

 予想通りに犯人が動いた。動揺している。目撃者がいるということも、それを物語っている。

 空悟がぎり、と歯を噛み締めると、「杵島っ!!」と叫んだ。

 部屋が近いこともあり、灯ちゃんがすぐに出てくる。

「何かしら。こんな夜にうるさいわよ」

「しらばっくれてんじゃねぇよ!何で被害者が出たことを言わない!?」

 1年6組、ということは灯ちゃんと同じクラスのはずだ。凪くんも知ってるんだから、当然灯ちゃんも知っている。

「いつ知ったって何も変わらないじゃない。明日になんないとどうせ動けないんだし」

 確かに灯ちゃんの言うことにも一理ある。

 でも、うん、なんか・・・。

「そういう問題じゃねぇだろっ!!」

 殴りかかる勢いで灯ちゃんに迫っていこうとする空悟を、真夜くんが腕を掴んで止める。

「お前は!どうしてそうやってっ・・・」

「そうやって、なに?私、今あなたたちに迷惑かけたかしら」

 灯ちゃんの言うことはいつも捻くれているけど、どこか正しいから反論ができない。

 だから空悟も、言葉が詰まってしまう。

「昔から言ってるでしょ。アウトロウとしての責務は果たすわ。だけど、必要以上に干渉してこないで」

 そうやって自分を守っている灯ちゃんを見ると、胸がきりきりと痛い。

「用件はそれだけかしら。じゃあ私は寝るから。静かにしなさいよね」

 面倒くさそうに言い残したあと、灯ちゃんは自分の部屋のドアをバタンと閉める。

 不穏な空気が流れる中、恐る恐る手を上げる人物が1人。

「・・・悪ぃ。ちょっと思い当たる節があるんだけど・・・」

 真夜くんだった。

 視線で促すと真夜くんが言葉を選びながら、慎重に口を開く。

「その、天内小夜って子のことなんだけど、今日・・・」

*翌日*

「え、熊谷先生休みなんすか?」

「あぁ。体調を崩されたみたいで、今日一日お休みするそうだよ。先生が、どうかしたかい?」

 つい、呆然としてしまい、目の前の教師に反応することを忘れる。

「・・・・、あ、いや、べつに、えっと・・・美術の教材、もらおうかと思って・・・」

 適当に思いついた言い訳を難なく信じてくれたことに死ぬほど感謝したい。

 昨日の夜、1年6組の天内小夜がいなくなった。

 狛を除く、4人目の被害者だった。

 天内小夜は比較的おとなしい性格で、教師から反感を買うような行いはしない。その中で彼女が狙われた理由を、俺はすぐ思いつくことができた。

 だってその場にいたのだから。

 目の前で、天内小夜が1人の教師に対して怒鳴っているところを見たのだから。

 あの瞬間、天内小夜は花を蹴っていた教師から反感を買うことになる。

 それを昨日みんなに告げると、みんなの行動は早かった。

 まず、その教師の名前は、熊谷信之というらしい。教科担当は美術で、顧問も美術部だという。

 そして熊谷信之は、第一被害者・黒宮綾と第三被害者・如月美羽の3年5組。第二被害者・渡辺香織の2年6組。そして、天内小夜の1年6組の美術の教科担任でもある。熊谷への疑いが一層深まった。

 ただ、まだ証拠が少ない。4人の中の1人しか辻褄があっていない。残りの4分の3をどうにか埋めなくてはならない。

 そこで今、接触を試みたのだが・・・

 休み。

 何故かそのことさえ、疑える要素に聞こえてしまう。

 いや、現場証拠や感情論だけでは犯人を追い詰められない。もっとちゃんとした、物的証拠がないと・・・。

 昨日璃月が探し出してくれた自転車の画像と、実物を照らし合わせるのが一番楽だったが、休みとなればそれさえ難しい。住所は分かっているのだから直接行ってしまうのが一番手っ取り早いけど、何にもないのに家に押しかけても逆に警戒されてしまう。

 5回の犯行の中で、最低でも2回の犯行に、その時刻、その場所にいた証拠が見つかればいい。

 天内の犯行は、熊谷がやったとしてまず考えていい。

 今のところ犯人の手がかりは極めて少ない。

 第一と第二の犯行の際は、犯人は全くミスをしなかったらしい。その頃はまだ事件性がないとアウトロウが判断していたので、情報収集が間に合わなかったらしいそうだ。第三の犯行ときに、犯人は初めて落し物をしていった。被害者である如月美羽の携帯のストラップと、パンの欠片。第四の犯行・・・つまり社井が連れ去られた・・・では、璃月の資料が役に立つだろう。自転車さえ一致すれば証明される。そして今回の天内では、目撃者がいるということなのでそいつに話しを聞けばいい。

 ちなみに、今は放課後だ。授業やらがあったりすると、下手に動くことができないからだ。多分、他の奴らもそれぞれ何か調べていることだろう。

 昨日倒れた璃月については、今日は梨緒が見ている。アウトロウの中で璃月に触れることができるのは女である梨緒と杵島だけだ。何となく、昨日の一件もあったので杵島には頼みづらく梨緒に頼んでしまった。その都合で、梨緒は今日欠席だ。

 少し物足りない気もするが、事情によってはいないほうが助かったかもしれない。あいつはよく目立つし、・・・俺も人のこと言えないけど。

 そして俺には、みんなに言っていない情報がもう1つある。

 皐。

 昨日、あの宿題女に言われて行った公園で知り合った、絵が上手な女の子。そう、女の子。

 もしかしたらそれも犯人が熊谷だということを証明するきっかけになりえるのではないだろうか。

 熊谷が皐の父親だということを明確にすれば・・・。

 いや、でもあの宿題女が俺ら2人に嘘をついている可能性だってある。あいつを安易に信じていいのか分からない。

 ・・・ただ、このことをみんなに話していないということが、昨日の杵島と同じことをしているような気がして。

 何となく、心にもやがかかっている感じだった。