複雑・ファジー小説
- Re: OUTLAW 【オリキャラ募集終了 ありがとうございました】 ( No.25 )
- 日時: 2013/04/03 00:03
- 名前: Cheshire (ID: f7CwLTqa)
「・・・はっ?」
「私、真夜になら梨緒って呼んでほしいわ」
「何言ってんだ、お前・・・」
「お前じゃない、梨緒」
「・・・」
俺は生まれて16年、女を名前で呼んだことがない。そもそも苗字を呼んだことすらないかもしれない。何せ、女子と話すような場面に直面したことがないからだ。
多少緊張はするが、それを知られるのは少し恥ずかしい。だから、なるべく、男を呼んでると思って、普通に・・・
「・・・梨緒」
と、小さく呟くように言った。
目を直視はできないが、それくらいはまけてほしい。
「うん。やっぱりそっちがいい」
満足そうにそう言って、梨緒は歩くスピードを少し早めた。
まるで、照れくささから逃れるように。
意外と素直なところもあるのかもしれない。
結構長い間歩いているのに、未だに篠原・・・ではなく、梨緒の言う「パレット」までつかない。
大分街の中心からも離れてきているし、もしかしたら外れになるのかもしれない。
ある意味、集合住宅と聞いて安心した。今の俺には住む家がない。途方もない暮らしをするのはごめんだった。
どこからかボロアパートでも借りることになると思っていたのだが・・・梨緒の身なりを見るにそこそこの場所らしい。たまにさせられるというアルバイトが少し気になるいが、それはまぁどうにかなるだろう。
「あれ、しのじゃん!こんなとこで何してんの?」
突然見知らぬ声を向けられ、反射的に顔を向ける。
「空悟」
梨緒はその声で誰だか分かったようだが、俺からしたら全然分からない。
クラスのリーダー格で、誰からも頼りにされそうな男がそこにいた。俺と同い年くらいだが、180度性格が正反対だった。
「今日は帰ってから全然いなかったから、どこに行ったのか心配してたんだよ・・・って、何その人、凄ぇ濡れてんじゃん!大丈夫か?」
「・・・え」
突然言葉を向けられ、俺は素っ頓狂な声をあげる。
「お前、傘持ってなかったのかよ?しのの友達?んじゃ、ほら早くついてこい。俺らん家行くから」
「え、ちょ、いや、俺は・・・「大丈夫よ」「え」
戸惑うことしかできない俺に、梨緒は淡々と言葉を告げ、そしてそれに対しても戸惑うことしかできない。
確かに俺は、雨に濡れたままでタオルで拭いてもいない。だってそのまま梨緒に手を引っ張られ、アイスを奢らせられたのだから。
しかも、梨緒と同様こいつも名前も言わずに俺を連れ回そうとするらしい。
雨で濡れた奴を心配しているところを見ると、予想した通りこいつは優しい奴らしい。
少し、強情だと思うが。
「空悟と私、同じ家だから」
「・・・は?」
何、こいつ、男と同棲してんのか?
いや、でも集合住宅って言ってたし、別に一緒のとこに住んでたっておかしくはねぇか・・・。
それなら、知り合いだったということも理解できる。
「ってことは、しのは帰ろうとしてたわけ?」
「うん」
はぁ、と見知らぬ男が溜息をついた。
俺はその溜息の理由は知らない。
「いい加減、場所覚えたらどうだ?アウトロウがあるのは真逆の方向だぞ」
それを聞いた瞬間、俺は心底この疲れ果てた足の意義について考え始めた。
もしかしたら、本当はもっと早くついてこんなに疲れなくてよかったんじゃないか・・・?
男はそんな俺に哀れみの目を向けながら、今更の質問を梨緒のようにしてきた。
「そういえば名前は?」
「・・・矢吹真夜っす」
「へぇ、かっこいい名前。俺、葉隠空悟。よろしくな、名前で呼んでくれて構わないから」
「お、おう・・・」
今の俺は若干押され気味だ。俺は巻き込まれる側ではなく巻き込む側の性格だっていうのに。
「早く着替えないと風邪引いちゃうぞ。ほら、案内してやるから早く来て」
何故かついていくしかない俺。何故か案内されている梨緒。
そして俺は、アウトロウに向かう。
葉隠空悟くんを登場させてみましたw
こんな感じでよろしいでしょうかぁ・・・?