複雑・ファジー小説
- Re: OUTLAW 【参照3000ありがとうございますっ!!】 ( No.263 )
- 日時: 2013/10/22 23:59
- 名前: Cheshire (ID: f7CwLTqa)
ありがとうございますですw
いやー・・・その事件を終結させるのに手こずってまして・・・。
いろいろ繋げさせてまとめていくのが、文才能力皆無のチェシャには難しくて・・・。
こう、事件の動機、とか、被害者たちのその後・・・とか。
実はこの事件は、この先の話しの中で再度出る予定でして。というか、ある登場人物たちをメインとした回を作るためのきっかけみたいなものでして。
それがこんなに長ったらしくなっちゃって・・・もう、死にます。ごめんなさい。
これからについては、アウトロウメンバーの人間関係、また、それぞれが抱える過去と関連したものを取り上げていく予定です。
上手くできるかはわかりませんが、暖かく見守ってくれると幸いです。生暖かい目は・・・ご遠慮いただけると助かります。
だからもう少し、この生徒行方不明事件にお付き合いくださいませませ。
ってことで少し更新いたします。
「・・・・・・・那羅、ちゃん・・・?・・・、泣かないで、ください・・・。僕は、大丈夫・・・です、から・・・」
小さく狛くんの声も聞こえてくる。那羅ちゃんを落ち着かせようとそんなことを言っているものの、あまりその言葉に効果はない。途切れ途切れの掠れた声が今までの状況を物語っていた。
那羅ちゃんの叫び声を聞いて、影たちが蠢く。意識がある人もいるみたいだ。
「あいたかった!なら、こまにぃに、あいたかったの!!ずっとずっと、こまにぃがいなくて、なら、ならっ・・・」
必死に求め、そしてそれを受け止める。体が動かない狛くんは、それでも自分を抱きしめてくる那羅ちゃんに、身を寄せて安堵していた。
どうやら手足を縛られているようなので、那羅ちゃんが急いでその縄を解いていた。
拘束されていることに怒りを覚えながら、俺は他の人たちの救出に向かった。
奥へ行けば行くほど、この部屋の空気がおかしくなる。
相変わらずの絵は無数に散らばっていた。無駄に多い気持ち悪い絵に、ついつい吐き気を覚える。
・・・?
気持ち悪いとは思っていながらも、俺は1つの疑問を抱きその絵を見比べる。
あの狂った絵に描かれている女の子。そのモデルとなっていたのは・・・
被害者たちだ。
女の子の顔を、俺が見間違えるわけがない。
これは美羽ちゃんの絵だし、こっちは渡辺香織ちゃんだ。あ、あれは黒宮綾さん・・・かな。
とにかく、顔つきも体つきも・・・絵に関われているパーツ全て、被害者たちの一部だった。
ただ、パーツが揃っていない。1人の少女をモデルとするのなら、その少女の絵が出来上がるはず。
けれど、この絵たちは文字通り不恰好で、未完成で、狂っている。
絵の中の少女を構成しているパーツが、揃っていないのだ。
それぞれの子から、必要なパーツだけを選んで絵に記し、無理矢理に繋げたような・・・。
とにかくちぐはぐの絵だ。
無数の絵に視線を写していたとき、
・・・ぞくり、と。
背筋が一瞬にして凍る。
・・・、何かに、見られている・・・?
そんな疑問を抱いた。
誰かが、こちらを見ている。監視するように、食い入るように、妬むように、恨むように、押しつぶされそうなほどの負の感情を、こちらに向けてくる。
誰かいるのか?被害者意外の、俺たちから見えないところに。
そう思って、俺は部屋の中を見渡した。そろそろ暗さにも慣れてきて、目が見えるようになってきた。
那羅ちゃんと狛くんがお互いを認め合っている間に、俺はその視線の主を捜した。
周囲をぐるりと見渡したとき。
視界の中に、不可解なものが入り込んできた。
あれは、・・・足?
・・・え?
自分の目を疑いながら、それが足だということを再度確認する。そして少し急ぎ足で、その足があるところまで突き進む。
被害者の女の子たちを通り過ぎてしまうのは少し気が引けたけど、その足があるのは部屋の一番奥。ベッドのそのまた向こうにある机の上。
近づくと、その足にはそれなりの高さがあり、布が被っていることが分かった。
俺は何かを焦るように、その布に手をかける。
本当は、体中を触るなという命令が駆け回っていた。
これは見てはいけないものだと、脳が必死に叫んでいた。
けれど、止めることができなかった。
その時俺は、冷静な判断ができないほどに。
・・・焦って、いたから。
ばさ、と布が擦れる音がする。
途端に足から先が姿を現す。
心臓がどくん、と大きく鳴ったのが分かった。
これもまた、女の子だった。ただし今回は、二次元ではなく三次元。絵画ではなく、
彫刻だった。変に滑らかで使っている素質が陶だということはすぐに分かる。
やはりその少女もまた、ちぐはぐで。
未完成の、いや、作品的にではなく肉体的に未完成の、少女だった。
無機質な白すぎる肌と、作り物の表情は、どこか儚げで狂おしい。
今までのどの絵画より、度を越えていた。
体の内部までもが見えていて所々赤く、血も垣間見えている。その血もまた妙にリアルで、・・・本物を使っているのではないかと疑うほどだった。
その禍々しさに、俺はついつい後ろへよろけてしまう。それくらい、おぞましい姿だった。
この部屋の中にある全ての絵と、この人形1体が、熊谷信之の異常さを物語っていた。
正常者のやることではない。
・・・こんな、女の子を拉致して、体の部位の全てを描写し、無茶苦茶につなげ合わせるなんて。そして、そうして作った女の子を元に、こんな人形を作り出すなんて。
俺には、あいつのしたいことがよく分からなかった。
だけど、異常だということは充分に分かった。
そしてそれと同時に、いち早く被害者たちをこの場から遠ざけないといけないということも自覚する。
人形の無感情の目に見つめられ、ついつい体が小刻みな震えを覚える。どうにかその震えを押さえ、俺は振り返って被害者たちを見た。
被害者たちは、4人ともベッドの上にいる。狛くんを除いて意識があると思われるのは2人。ベッドの隅に1人と、狛くんの近くにいる何故か俺を睨みつけているように見える子が一人。格好があれだし、不審感を抱かれても仕方ないかな。怖がられなければいいけど・・・。
残ったもう1人の子は、ベッドの中央で寝かされていた。体格が一際小さく、タイミングからも考えて昨日拉致された1年生の天月小夜ちゃんだろうか。
狛くんを除く残りの3人の女の子たちは、手足を縛れた上に目と口を布か何かで覆われていた。男と女の差だったのだろうか。でもこれで、あの人形を見たときに後ろから悲鳴が上がらなかった訳が分かった。
俺はその被害者たちの中で、ベッドの隅でうずくまり必死に体を震わせている女の子を見た。視界が遮られている彼女たちからすれば、知らない少女の叫び声と不気味な物音が聞こえてるに過ぎないのだから怖がっても仕方がない。
その子に近づき、俺は怖がられないようにゆっくりと目と口を覆う布に手をかけた。びくり、と大きく震える彼女に、複雑な思いを覚える。
彼女と目が合う。
「・・・・・・・・・・・、り・・・ひと、くん・・・?」
小さな声で、名前を呼ばれた。
今にも泣き出しそうな、そんな表情で。
「美羽ちゃん、かな?」
今回の第三被害者。如月美羽ちゃん。