複雑・ファジー小説
- Re: OUTLAW 【いつのまにか参照400!?めっちゃ嬉しいw】 ( No.49 )
- 日時: 2013/02/11 09:27
- 名前: Cheshire (ID: f7CwLTqa)
***
「こんなとこにいたんだ、よく見つけられたね」
そんな中、傘を差した男が入ってきた。
先ほど会った高嶺真という男だ。
梨緒は高嶺の姿を見て、いかにも嫌そうな目になった。敵意丸出しの草食動物に似ている。
「そんなに睨まないでくれよ。とりあえず最初に誤解を解いておこうと思う」
へらへらとした態度で高嶺は梨緒に声をかけた。
「いいかい?俺は、矢吹真夜をアウトロウにして、という質問に対しての答えは言っていないよ。ただ、どんな人か尋ねただけだ。いつ、僕が矢吹真夜はアウトロウにしないなんて言ったよ」
俺は、梨緒と高嶺の会話は聞いていない。
だけど、梨緒の表情を見ると、確かにそうらしい。どこか唖然としているみたいだ。
「悪いけど、真夜くんのことを少し調べさせてもらったよ」
・・・。
どういうことだ。
驚きと怒りが俺の頭の中で交互に繰り返す。
「君は、アウトロウに相応しい」
ぴく、と梨緒と空悟が反応した。
喜ばしいはずなのに、その表情には苦悶の顔が浮かんでいる。
俺はまだ、アウトロウに相応しい、という意味が分かっていなかったんだ。
「だから僕は、正式に君をアウトロウに誘いたい。そうすれば君は、梨緒ちゃんと一緒にいられるよ?」
何かを楽しむような声色に、俺は少し機嫌を悪くする。
勝手に人のこと調べておいて何なんだよ。
人には触れちゃいけないところっていうもんがあるんだぞ。
そう思いつつも、梨緒と一緒にいられる、というただそれだけで気持ちが変わってしまう。
こいつと一緒にいられるのなら、今の俺にとってそれ以上の対価はな
い。
だったら。
「・・・分かった」
俺は高嶺を真っ直ぐ見据えた。後ろにいる梨緒が俺の服の裾を小さく掴んできたが、それが何を意味するのかは分からない。
「アウトロウになってやる」
はっきりとした意思表示。断言。決定事項。
アウトロウの意味は、無法者。法の保護や秩序の外にあるもの。
つまり世界秩序から除外されたもの。
「君ならそう言うと思ったよ、矢吹真夜くん。僕はアウトロウの責任者の高嶺真だ」
高嶺は自己紹介しながら俺へと近づき、俺にしか聞こえないような小さな声で呟いた。
「もう、大事な人を失いたくないもんね・・・?」
ぞく、という冷たいものが背中を通った。
本当にこいつ、全部知ってる・・・?
無償に殴りたいという気持ちが高ぶったが、後ろに梨緒がいることを考えたら止めざるおえなかった。
「責任者として、僕は真夜くんを歓迎するよ」
何を考えているのか全く分からない笑顔で、高嶺は言う。
「じゃあ、とりあえず大まかなことだけ言っておこう。これから真夜くんには、さっきいたところ分かる?あそこに住んでもらう。部屋は適当に決めていいよ。あと、真夜くん16歳だよね?私立高嶺高等学校は知ってるよね。あそこに転入してね」
「・・・は?」
「2年生でいっか。あぁ、気にしないで。アウトロウに住んでる子たちは全員高嶺高校に行っているんだ。梨緒ちゃんも、空悟くんもね」
え、アウトロウって住む場所も学校も指定されんの?
でもまぁ・・・俺にとってはありがたいのか。
それに、こいつらとずっと一緒っていうのも、何か楽しそうだしな。
「そして、アウトロウは高嶺高校の治安維持機関・・・学校では風紀委員で通ってる」
治安・・・維持、機関。
「高嶺高校に限らず、この街は俺らのテリトリーだ。ここでの問題は、俺らが収束する義務がある」
・・・梨緒が言ってたアルバイトっていうのは、もしかしてこれのこと・・・?
「真夜くんは喧嘩も強いみたいだし、それに洞察力もあるみたいだね。アウトロウには抜擢だ。とりあえず、家に行こう。みんなを紹介するよ。まぁ、もう知り合いも多いかもしれないけどね」
勝手に言いたいだけ言って、高嶺は屋上を後にする。
残された俺たちはどうすればいいか分からなかった。あんな一気に言われたって、俺には理解できない。
「・・・とりあえず、帰ろうぜ。寒いしさ」
遠慮がちに声を発したのは空悟だ。
確かに雨の中に長時間いるのは気が引ける。
「お、おう」
俺は裾を掴む梨緒の手を1度離そうとしたが、梨緒がそれを許してくれなかった。驚いて目を合わせると、首を横に振られて嫌だと言われた。
少し複雑で恥ずかしかったが、別に悪い気はしない。
空悟、俺、梨緒の順で屋上を後にした。
「うゎ!?」
と、前にいた空悟が突然声をあげて立ち止まったため、俺らも自動的に立ち止まる。
「どうし「お前こんなとこで何やってんだよ」
疑問の声をあげようとした俺の声は、空悟の声で遮られた。
よく分からず、俺は空悟の後ろから前に覗き込む。
そこには、床に座った1人の男の姿があった。
かなり端整な顔立ちで爽やかさが溢れる好青年だった。金髪と緑色の目から、社井と一緒のハーフかクォーターだろう。いかにも女子から圧倒的な人気を誇りそうな雰囲気で、女子の扱いにも手馴れていることが予想できる。
「こんな時間に空悟が外にいるのは珍しかったから、つい追ってきちゃったんだ。ごめんね?」
同姓の俺にとっては関係ないが、多分甘い声と思われる声色で、男は空悟の質問に答える。
「やぁ、梨緒ちゃん。どうしたの?随分濡れてるじゃないか」
そして男は、空悟の後ろにいる梨緒を見つけて声をかけた。
男は軽い格好をしていたが、俺とは少しタイプが異なるようだ。例えば、俺はただ夜にふらつくような黒を基調とした近寄りがたいものだが、男はホストのような白を基調としたものだ。全く正反対。
「大丈夫」
「そう?それならいいんだけど、あまり気を抜いちゃ駄目だよ?今年は夏風邪が流行るみたいだから」
「うん」
梨緒とも知り合いのようだ。
なら多分、こいつもきっと・・・。
「んで、こちらはどちら様かな?2人のお友達?」
「新しくアウトロウになった矢吹真夜だよ」
俺が言う前に、空悟が俺を紹介してくれた。
やはり、男もまた険しい表情になったが、すぐに笑顔を取り戻して俺に向き直った。
「じゃあ、これからは君も仲間だね。よろしく、僕は阿九根理人だよ。真夜って呼んでも構わないかな?」
握手を求められたので、差し伸べられた手を握り返しながら、俺は「あぁ」と短く答えた。
「それなら真夜も俺のことは名前で呼んでくれ。苗字はあまり慣れていないんだ」
「分かった」
こいつ・・・理人は多分クラスの中では人気者タイプだ。
女にも男にも嫌われない中性的な立場。
「今帰るところなんだろう?一緒に行こう。早くご飯を食べないと」
普通に溶け込んだ理人を含めた俺ら4人は、アウトロウへと足を進める。
その間、梨緒はずっと俺の服を掴んだままで、俺は少し気まずかったのは秘密だ。
理人は空悟を見かけた時点で俺らが傘を持っていないことに気付いたらしく、人数分の傘を買っておいてくれた。何のデザインも無いシンプルなビニール傘だったが、今まで濡れてた身としてはかなりありがたい。
相変わらず柄の悪い奴らが行き来する通りの中で、空悟は特に男に、理人は女によく声を掛けられた。
先ほど高嶺が言っていたように、ここはアウトロウのテリトリーらしい。そうなると、ここらに住む人たちにとって空悟たちは頭な訳で、仲がよくても何も変哲はない。
ただ、梨緒は人ごみが嫌いなようで、俺の後ろから全く離れたりしなかった。
少し久々更新ですw 理人登場!
