複雑・ファジー小説
- Re: OUTLAW 【第2部 START☆】 ( No.94 )
- 日時: 2013/03/27 07:55
- 名前: Cheshire (ID: f7CwLTqa)
これでも俺は一応転校生だ。朝は担任と一緒に行くから、梨緒と一緒にいるわけにはいかない。
「高嶺高校の構造が難しいことは言っただろう?学年ごとに校舎が違うって」
「あぁ」
高嶺高校は私立なのでそれなりに私有地が広いことは予想していた。
だが、説明してもらった高嶺高校の構造上、その予想を上回る広さになった。
学年ごとに校舎が違い、特別教室・・・美術室や理科室、家庭科室等、また職員室、保健室、放送室などが各校舎ごとにあるという、まるで学校が3つあるような感覚で、高嶺高校は成り立っている。校庭は共用だが、その広さは普通の学校の校庭の1、5倍はあると聞いた。3つの校舎は渡り廊下で繋がっているらしい。
そんな学校を創った高嶺の親族は、どんだけ金を持ってたんだ。というか、そもそも何をしている人なんだ。まぁ、どうでもいいけど。
「しのは教室までの道が分からなくて3年の俺の教室まで迷い込んできたんだぞ」
「・・・は?」
校舎は、学年ごとに違う。
梨緒は2年生で、空悟は3年生。当然、校舎も違う。
なのに、教室を求めて梨緒が辿りついたのが、空悟のクラス・・・?
「ついでに言っとくけど、梨緒は全学年に顔が知られてるぞ。迷子ちゃんってな」
迷子ちゃん、って・・・どんだけこいつは方向音痴なんだ・・・。
「だから、学校内でもどこでも、絶対しのをどっかに1人で行かせちゃ駄目だよ。帰ってこないからね」
「分かった」
何も考えずに承諾する。そりゃ、校内を彷徨って違う校舎まで行くなら顔が知れ渡るのは当然だ。
「ほら、ここが高嶺高校だ」
気付けば俺は、高嶺高校へ到着していた。
もう、予想をしていた通りの広さ。今更驚くことは何もない。
高嶺高校は最近出来たばかりなので、かなり綺麗だ。白い制服がよく映える。
俺みたいな奴には場違いなとこだが、規定なのだから仕方がない。
学校には見えないこの建物が、俺が通う高校になるのかと思うと、少し気が引ける。
「真夜」
校門の前でつい立ち止まってしまった俺の隣で、梨緒が口を開く。
「高嶺高校へ、ようこそ」
俺の新たな高校生活が、今始まった。
***
「やっぱり同じクラスになったわね、嬉しいわ」
「まぁ、まさかあの迷子と知り合いだとは思わなかったけど」
俺が担任の先生と梨緒に案内された教室には、やはり姫路空と姫路優がいて挨拶際にアイコンタクトを取った。
職員室に行った俺が最初に言われた言葉は、歓迎の言葉や自己紹介の言葉でもなく「篠原さんを知っているのかい?」だった。教師側としても梨緒の迷子のことについては問題になっているらしい。じゃあ、これからもよろしくね、という言葉は多分梨緒から目を離すなということだろう。転校生に問題児を任せるとはどうなんだ、と思ったが別に怒ることでもないので得に何も言わなかった。
クラスメイトたちの反応は俺の思った通りだった。俺の服装や雰囲気に怯える奴らが大抵だったが、悪い奴らではないようだ。挨拶で俺がその類の不良ではないと理解してくれたらしく、話しかける程度はしてくれるようだ。友達に発展してくれる奴がどれだけいるかは知らないけれど。
丁度よく俺の席は一番後ろの窓側になった。夏になっていくと日差しが少々気になるがカーテンを閉めてしまえば風通しがいい最適な席だ。
梨緒は「迷子ちゃん」というよく分からない権力を使って、俺の隣の席を確保した。クラスメイトも担任も、梨緒のそんな勝手な行動を何事も言わずに見過ごした。それほど梨緒には手を焼いているのだろう。
「やっぱり、って何だよ」
「女の勘ね」
授業は俺がいたところより遅れていたため・・・多分丁寧にやっているのだろう・・・授業はほとんど集中せずにいれた。姫路たちと話す俺を見て、最初梨緒は戸惑っていたが朝電車で会ったことだけ告げたらすぐに納得してくれた。
前から思っていたことだが、梨緒はあまり物事に対して深追いはしないらしい。まぁ、確かに野朗の痴漢とか同級生の売春とか話されても、梨緒が対応に困るだろう。
それより俺はこのクラスになってちょっと気になったことがあった。
俺が今までいた高校では、双子や従兄弟と言った親族はクラスが別々だったはずだ。なのに、姫路たちは同じクラスである。私立高校となると、やっぱり規則が違うのだろうか。
だが、昼休みまでいてこのクラスでのこいつらの立場がよく分かった。
彼女たちは姫路グループの子息だ。それでいて容姿端麗ときた。クラスメイトが身を引かないわけがなかったのだ。
それはクラスメイトだけに限らず、先生たちもらしい。高嶺高校の理事に関わっている高嶺の親族は、姫路と親交があるらしく多少の費用も姫路から出してもらっているらしい。つまり、姫路は高嶺と同様に言葉1つでこの学校を操れるということだ。
姫路たちはかなり仲がいいし、違うクラスなんて許さないだろう。入学時にそれを教師に告げていれば、無条件で2人は同じクラスになる。
全く・・・金持ちというものは。
「すみません、矢吹真夜さんはいらっしゃいますか?」
と、クラスのドアに、かなり目立つ金髪の奴が現れた。すぐに社井だということが分かる。
黒髪の日本人の中での1人だけの金髪はかなり目立つ。ついこの間知ったことだが、社井はやはりハーフらしい。
転校生をいきなり呼び出すなんてとクラスメイトたちは少し動揺していたが、とりあえずということで俺のほうを見て手招きしてくれる。
俺は話していた姫路たちと梨緒に悪いと言いながら、社井がいるほうへ歩いていった。
「なに?」
「空悟さんから回ってきた情報です。阿九根さんに回してください」
学校での連絡事項は3年から1年へ連絡網のように回されて伝わる。
アウトロウとしての情報はどういう経緯かは知らないが、3年生の空悟に渡り2年1組の社井から順番に俺、理人へと回る。それから理人が灯へと伝える。璃月に関しては学年問わず社井が担当しているらしい。
「率直に言います。3年生で1人また行方不明者が出ました」
「何だと?」
行方不明者が増えた。今度は3年生。
「如月美羽・・・水泳部エースの生徒です」
そういえば俺、行方不明1人目の生徒の名前を知らないな・・・後で聞いておこう。
「彼女は・・・えっと、夜遊びが酷かったらしいです。毎晩違う男の人を連れ込んでたみたいで・・・成績も悪かったみたいですし・・・何か被害者の統一性がないんですよね。渡辺香織は成績優秀でしたし」
・・・アウトロウにはまだ、渡辺香織のカンニング情報は流れていないようだ。もしかしたら時間の問題かもしれないが。それでも、その理由までは行き着かないかもしれない。
更新が遅れてしまって本当に申し訳なく思います、ごめんなさい
下書きのほうが全然追いつかなくてですね・・・^^;w
でも、そろそろ未登場の皐ちゃんと天内小夜ちゃんと黒宮綾ちゃんが入りそうですっ!
登場が遅れてしまって本当にごめんなさい!キャラ設定とかを考えながらどういった形で登場させたらいいかとかいろいろ考慮してたらつい遅れてしまう形になっちゃいました・・・
もうすぐ「まだ未登場」を消せると思うと気分が上がる思いですw
長編になりそうな勢いですが、飽きずに呆れずによろしくですww