複雑・ファジー小説
- Re: Q.人間と獣と植物が戦争したらどうなる?【オリキャラ募集中】 ( No.22 )
- 日時: 2013/02/07 23:02
- 名前: 匡匪 吠兎 (ID: rYvWlEkT)
「…ごめん。もっかい言って」
「だーかーら、人間人のミカミなんとかって奴が葉花人を殺して食って逮捕されたらしいって」
…この手の話題は食事中に、しかも朝食中にしないでほしい。
「マジか」
「マジだ。お前がすっ転ぶ前にニュースでやってた」
言われてテレビの方へ視線をやる。皿はとうに空っぽになっていた。
最近買った薄型のちっちゃめのテレビは、電源が入っておらず黒いままだった。
自分の顔と、兎田くんの顔が薄暗く映っている画面を見て、なんでか分からないけど、
なんとなくだけど、どうしようもなく不安な気持ちになった。
「…リモコン。リモコンどこ」
焦った。かなり不安だ。何か不安だ。早くテレビをつけなきゃ、この画面を消さなきゃ!
なんでオレはこんなにも焦っているのか、不安になっているのか?
分からなかった。
目の前の兎田くんは呑気に「えー、リモコンリモコン…どこ置いたっけ」なんて言っている。
あ、リモコンは兎田くんの後ろにあるじゃないか!
「それ、それ!兎田くん!後ろ!兎田ァ!」
兎田くんを、じゃなくて兎田くんの後ろを指さして叫ぶ。
「な、ンだよ。そんな怒んなよ…お、リモコンあった」
ほい、と渡されたリモコンを乱暴に奪い、赤いボタンを人差し指が折れるかと思うほど強く押した。
明るくなった画面には人間人のアイドルが踊りながら歌っていた。
あ…
あれ、オレ、なんでさっきまで不安だったんだろう…?
なんでオレ、一瞬で不安が消えたんだろう…?
「…レオ、レオ?どうした、今の時間帯はもうニュース終わってるぞ」
驚いているような、呆れているような、心配しているような、でも無愛想な表情で兎田くんが聞く。
「…あーごめん。さっきの話気になっちゃってさー…ハハ」
多分今のオレの顔は、ひきつった笑いになっているだろうなー。
兎田くんは一瞬納得できない、とでも言うような表情を浮かべたが、「そっか」と一言つぶやいて自分の皿に目を落とした。
いつの間にか兎田くんの皿も空っぽだった。
しばらく皿底を見つめてから、オレの皿を見て一言、言った。
「おかわり、いるか?」
「うん、いる」
さっきの不安の事も、不安を不思議に思ったことも、いつしか忘れていた。