複雑・ファジー小説

Re: Q.人間と獣と植物が戦争したらどうなる?【オリキャラ募集中】 ( No.25 )
日時: 2013/02/09 16:46
名前: 匡匪 吠兎 (ID: OXm6els4)

*...その頃葉花人が住む町では
「あ…クロさん。おはようございます」
「あれ、風香。相変わらず小さい体してるね。何してるの?」
「小さいは余計です。…お食事中です」
風香と呼ばれた少女…つまり私は、弱い、冷えたような眼差しで話しかけてきた女性に応えた。
太陽の光を体中に取り込む、「お食事」。喉は乾くけれど、早朝のおひさまはとても暖かくて美味しい。
ちなみに、人間人は私たちのお食事のことを「コウゴウセイ」と呼ぶらしい。
「そう。水もちゃんと飲みなさいよ?カラカラになっちゃうから」
ニコ、と笑うクロさん。
黒薔薇のクロさんは、クールで優しくて、でもどこか魅力的な妖しいオーラのある人だ。
良い人なんだけれど、会うたびに「小さい」というのはやめてほしい。

「…そういえばクロさんは何してるんですか?それ、仕事用の物ですよね」
それ、というのは彼女が持っていた黒いバッグだ。
黒いバラの花弁が散りばめられていて、なかなか綺麗な外見をしている。
私の知る限りでは情報を書き留めておくためのノートと筆記用具、それから小さなノート型の、パーソナ…パ…コン…という機械が入っているらしい。
「ああコレね。風香も知ってるでしょ?人間人のマッドのこと」
「マッド…あ、葉花人の美人ばかりを狙って、殺害したっていう事件の」
「そうそう、詳しいじゃない。でも「殺したヒトの肉を食べた」ってところが抜けてるわ。
そこが肝心なのよ、今回のソレは」
微妙に熱がこもった言い方になるクロさん。傍目に見れば冷静に見えるけれど、仲間思いのクロさんの事だ、相当の憤りは感じているのだろう。

それにしても、その事件がクロさんの仕事に何の関係があるのだろう?
被害者の多くはフルティアー(果物系の葉花人の事)で、クロさんの周りには、その人たちはいないはず…
「私が情報を提供したのよ、人間人と葉花人両方の警察にね。
結果、容疑者の特定・逮捕に至ったから、今から面会に行くのよ。」
「はぁ、そうなんですか」
「マッドの心情は私にはよく分からないから、こういう情報は人から集めるしかないの。
ってなわけで今からジパンに行ってくるわ」
ジパンとは人間人の街の事だ。ここビュフラ(私が住む町)からジパンに移住した人もいる。
ここからだといったん海をまたぐ所にあるので、行くのには
少しばかり時間がかかるだろう。

「ジパン、ですか。気をつけていってらっしゃい。」
にこ、と笑って手を振る。と、
「ええ、行ってきます」
ニコ、と笑い返された。
私は手を振りながら、少しの間小さくなっていくクロさんの背中を見ていた。