複雑・ファジー小説
- Re: Q.人間と獣と植物が戦争したらどうなる?【オリキャラ募集中】 ( No.31 )
- 日時: 2013/02/10 21:57
- 名前: 匡匪 吠兎 (ID: OXm6els4)
「ごきげんよう、風香さん。」
クロさんの背中が見えなくなるとほぼ同時に、後ろから品のある声が聞こえた。
「おはようございます、セフォネさん。セフォネさんもお食事ですか?」
セフォネさんとは、何年か前にビュフラに移住してきた人だ。
博学で上品なその佇まいから、「良家のお嬢様ではないか」と噂の人物だ。
「いえ、私は少し散歩に… ここ1週間は研究ばかりで息が詰まっていましたの」
私の「お食事ですか?」という質問に、たおやかな笑みで答えるセフォネさん。
正に素敵な大人の女性、という感じだ。顔は疲労のせいか少し青白く見えるが。
「研究…ですか。薬剤関係の、ですか?」
「ええ、中々上手く行かないのですけれど…」
彼女はホホ、と上品に笑った。少し、焦りと苦笑いが混じった様な表情だった。
因みにセフォネさんは毒薬、劇薬を常備している。これはビュフラ住民全員に知られている(だろう)事だ。
研究、というのは彼女が行っている、劇薬を調合し良薬にする、という趣旨のものである。
しかし、それは中々うまく行かないらしい。
さっきから、美しい黒髪をかき分けては地面を見、また目を覆わんとする黒髪をかき分ける、という動作を続けている。
「あの、セフォネさん。あんまり無理するのは良くないですよ?ちゃんと休まないと」
声をかけると、彼女は一瞬ビクッと体を震わせ、例の動作を止めた。
そして彼女は言った。笑った。
「そうですわね。心配をかけてしまって申し訳ないですわ」
優しい笑顔だった。女の私でも一瞬、ドキッとしてしまうほど。
葉花人は美人が多いと言われているけど、セフォネさんは群を抜いているな、と思った。
「今日はもう帰って休む事にしますわ。それでは、よい1日を」
丁寧にお辞儀をし、ひらひらりと右手を振りながらクロさんとは真反対の方向へ歩き出した。
…そういえば、セフォネさんは何処に家を持っているのだろう。
ビュフラにある事は知っているけれど、どこにあるのかは知らないままだったような気がする。
今度聞いてみようかな…と思ったが、家に押しかけようなんて気持ちは無かったのでやめた。