複雑・ファジー小説

Re: とある天才のイミ ( No.13 )
日時: 2013/02/17 13:00
名前: せぷてむ ◆9FXqrrTuEc (ID: Z6QTFmvl)
参照: ってっててー


 ——朝だ。時計をみれば6時30分、いつもなら10時まで寝ているのでかなり眠い。でも、ワカナ達のこともあるので早く起きなくてはならない。すごく面倒くさい。でも仕方ないな。

 リビングに行けば、消していたはずのテレビが付いていた。ソファーに座りテレビを見るのはユーマだ。早起きだな。

「おはよ。起きるの早いね」
「何時もこれぐらいだな」
「……」
「なんだよ……」
「あんたってさ、なんで私と話すときだけ口調違うの?」
 ユーマは私と話すときだけジュントと同じような口調で話す。でも4人になると口調が偉そうになるというか、変わる。それが疑問だった。
「……ジュントと被るから」
「それだけっ!?」
「ああ」
 単純すぎる理由に唖然とする。どんだけジュントと被るのが嫌なのか。仲は普通にいいと思うのだが……

「別になんだっていいだろーが、ばーか」
「くたばれ」
「ハッ! 何とでも言え」
「馬鹿阿呆浮気者」
「最後のナニソレ!?」

 全部事実だ。馬鹿野朗。



 朝ご飯は至って普通だった。なんかあったら多分朝は機嫌の悪いワカナ様の罵倒が続いたのだろう。
 そして、アンドロイドが売っている専門店は10時から開店なのでそれまでは皆適当に時間を潰していた。ジュントはゲームをやっている。なに勝手に私のゲーム機で遊んでるんだよ。思いっきり頭をクッションで殴ってやった。当然やり返されたのだが。ワカナはソファーの上でゴロゴロしているし、ユーマはスポーツ雑誌を読んでいる。
 私はテレビを見ていた。ただぼーっとニュースを見ていた。そしたらアンドロイド特集が始まった。そしたらジュントはゲームする手を止め、ワカナはテレビを真剣に見始め、ユーマも見ていた。

『今日は、開発者であるヒイラギ博士とその助手であるナオ博士にインタビューします!』
 出てきたのは、着物みたいな服を着てその上に白衣をみた長い黒髪が特徴的な綺麗な女の人と、肩に着くくらいのこげ茶色の髪、その髪は毛先がくるくるしている小柄な女の人。小柄な女の人に私は物凄く見覚えがある。この背の低さに天然パーマ、間違いなく私のお母さんだ。てか、助手だったのね。驚いたわ。

『今のアンドロイドと昔のアンドロイドとは違う点はどれぐらいありますか?』

『そうね、かなりあるわ。決定的なのは見た目かしら』
『それと、性能ですね。今のは人間より優秀な頭脳を持っていますし』

 お母さんが別人に見える気がする。いつもこんなにシャンとしてなくて、おちゃらけたイメージしかないから別人にしか見えないよ。

『へぇ〜、ではアンドロイドを作った理由はなんでしょうか?』
『この日本の未来を支えていきたいからかしら。それと私の自己満足でもあるわ』

「今、凄い事言ったね」
「普通こんなはっきり言わねーだろ」
「同感」

『アンドロイドが故障することは?』
『99%無いわ。ただ、外部からの強い衝撃を与えれば壊れてしまう可能性があるの。
 システム的には問題無いわ。人間でいう、心臓あたりに制御リミッターがあるの。システムが暴走しそうになってもリミッターがなんとかしてくれるわ』
『それに、そのリミッターは我々にアンドロイドのデータを送ってくれるので誤作動の多いアンドロイドはすぐ見つけることができるのです』
『見つけた場合はどうするのです?』
『こちらから停止させるための信号をリミッターに送る事もあるし、直す事もあるわ。状況次第ね』


 それから質問は続いた。
 お母さんがお母さんじゃないみたいで少し怖かったな。そして、アンドロイドはやはり恐ろしい物ではないのかと思う。ワカナ達の顔は眉を寄せていたりとあまりいい表情はしていない。



 私は心を落ち着かせ、言った。

「買いに行こうか」






 ——全てはもうはじまっていた。ただ、買わなければ未来は別の方向へ向かっていたのかもしれない。