複雑・ファジー小説
- 第一話 アンドロイド ( No.2 )
- 日時: 2013/02/11 19:40
- 名前: せぷてむ ◆9FXqrrTuEc (ID: qXcl.o9e)
教室の窓から見える、綺麗な青空が広がっていた。
眠たい目を擦りながら先生の話に集中する。
理科の先生の話し方ってすっごく、眠くなるんだよね……
はやく終わんないかな……
「人の身体のつくりは……ってあと3分しかねーやないか」
先生がそんな口調でいいのかよ。っていうツッコミは一学期の間に何回もしたからもうしないよ。うん。でも直した方がいいよね。
「ほんなら、次の理科は理科室でやります! 号令お願いします」
「起立、礼」
「有難う御座いました!」
「やっと終わったよぉおお!」
我慢していた欠伸を一つ。寝不足なんだからもう、欠伸が止まらない。
「……学級委員がそんでいいのかよ。ナツミさん」
「わざとらしく言うなよな。馬鹿が」
お前だって一学期学級委員だっただろうが! このサッカー馬鹿!
「馬鹿は余計だ。この鈍足!」
「鈍足じゃないです〜。運動が嫌いなんです〜」
「どっちも一緒だボケ!」
「くたばれ」
「お前らいい加減にしろよ!」
「くたばれ」「黙れ」
いきなり乱入してきたバスケ馬鹿。こいつも今言い合いをしているユーマと一緒で馬鹿だ。頭も馬鹿だ。……ざまぁみろ。
「……学校じゃなければ殴ってやったのに」
あらやだ、この子。物騒ね。
とはいえ、周りはもう鞄片づけをはじめている。え? もうそんな時間なんだ。
空気を呼んで鞄片づけを始めた。それはユーマも、バスケ馬鹿のジュントもだ。さすがに空気読まないといけないし、先生に怒られるなんて嫌だもんね!
まあ、まだ学級委員のお仕事が残ってるんだけどね……。マジで嫌だこんな仕事面倒くさい。
*
「遅い!」
「すんませんでしたぁ!」
一緒に帰る友達をまって早10分。もう殆ど帰っちゃってるよ! 頭を下げる友達、ワカナは同じく学級委員で忙しいのは分かっているつもりだが……
「人を待たせてんだから急げよ」
「すんません!」
「なんで友達とキャーキャー騒いでたの?」
「すんません!」
いや、なんで謝るのさ……。お前は謝り人形か?
「……そのー、川田さんがさ、アンドロイド買ったんだって。それで盛り上がってて……テヘペロ☆」
テヘペロ☆ じゃねーよ。
私がイライラを募らせていることに気付いたのか、ワカナがまたまた頭を下げる。
「でも、アンドロイドだよ? アンドロイド! いいよねー、勉強とか教えてくれたり、ご飯作ってくれたり、それにそれにすっごくイケメンなんだって!」
「へっへぇ〜」
目をキラキラ……、ギラギラさせて言うワカナ。あまりのギラギラさに少し引いてしまう。
アンドロイドといえば、”ヒイラギ博士”が開発したロボットだ。最初の方は明らかにロボットだったらしいが、最近は人間と違う点を見つけるのが困難なぐらい精密に創られている。外見は。
まぁ、やけに顔が整っている人がアンドロイドなんだと思う。
帰り道はワカナによるアンドロイドについて力説で終わってしまった。
私には理解できない。あんな何を考えているのか解らない、人の真似事をする機械を欲する理由が——
「どうやら馴染んじゃっているみたいだね〜、今の身体に……」
後ろで少年が笑っていた事に私は気付けなかった。