複雑・ファジー小説

Re: 【少年少女と】とある天才のイミ【アンドロイドの意味】 ( No.20 )
日時: 2013/03/05 20:11
名前: せぷてむ ◆9FXqrrTuEc (ID: Z6QTFmvl)
参照: 久々のこっうしーん♪

 


 誠を買って家に帰った私達。道中、お姉様方の黄色い悲鳴合唱の不協和音で耳が痛くなった。誠を見るなりキャーキャー、思わず「うるせぇ!」って叫んでしまった。が、お姉様方には気付かれなかった。誠は相変わらずの無表情。逆ナンされても無表情。心なしか眉間に皺がよっていた気がする。あんな化粧の濃いお姉様に逆ナンされても嬉しく無いだろう。もっと清楚というか、純粋に『可愛い』子にされたら嬉しいだろうけど。

「誠と歩くとマジ疲れんぞー。ナツミー昼メシぃー」
 何様のつもりなのかは知らないがジュントが偉そうにソファに座るもんでその辺のクッションを投げつけた。もう何回も投げているのに相変わらず避けれないジュントは学習能力が低いと実感する。

「あー、何作ろう? 何でもいいよね?」
「えー!」
「ね?」
「はい……」
 文句言うぐらいなら自分で作ったり食べなければいいだけの話だ。
 早速作ろうとしたら誠に腕を掴まれた。

「?」
「俺が、俺がマスター達の昼食を作るので主はお休み下さい」
「え、でも……」
「貴女はこういう事をさせるために俺を買ったのでしょう? だから、俺に任せてください」
「え、じゃあ、お願いします……」

 そしたら相変わらずの無表情で「かしこまりました」と言ってキッチンに向かった。
 確かに私は家事を任せるためにアンドロイド(誠)を買ったが、なんだろう、凄く変だ。家族でも無い人に料理とか作ってもらうのは凄く変な気分だ。それに年上(生まれたのは私のほうが絶対早いと思う)に敬語使われるなんて逆に緊張してしまう。……本当に買ってよかったの?


「あっれ? ナツミ準備はー?」
「誠がやってくれるよ」
「”アンドロイド”だもんな」
「召使みたいでいいじゃねーか!」
 そういうものだろうか。アンドロイドは人間に従順なペットのようだ。”心”など無いのだから何をされても何も感じないのだろう。でも、アレコレやらせるのは人間としてどうかと思う。

「アンドロイドに”心”ってあるもんなの?」
 ふとこぼれ出た言葉。それにワカナ達は反応してくれた。
「さぁ? 一般的に見れば無いよね〜」
「無いだろうな」
「んー」
 珍しく悩んでいるジュント。ジュントが真面目だと逆に調子が狂ってしまう。

「確かに、”無い”のかもしれねー。でもよ、その証拠なんてどこにもねーぜ。でも”在る”証拠もねー。つまりは、俺達の考え次第だな!」

「……」

 ジュントにしてはまともでいいことを言ったので皆黙ってしまった。世の中、ジュントみたいな人が沢山居たらこんな汚い社会は生まれなかったと思う。

「なんだよ……」
「見直したぞ。ただの馬鹿じゃないんだな」
「うん! たまにはいいこと言うんだねー! たまには」
「ジュントのクセにいい事言うなんてビックリだな」
「お前らさりげなく酷くねッ!?」