複雑・ファジー小説

Re: 【少年少女と】とある天才のイミ【アンドロイドの意味】 ( No.21 )
日時: 2013/03/08 22:22
名前: せぷてむ ◆9FXqrrTuEc (ID: Z6QTFmvl)
参照: 久々のこっうしーん♪


 誠の作った昼食、それは炒飯だった。誠「質素なもので申し訳ありません」と謝った。作ってもらえるだけありがたいというのに。これじゃ何のためにアンドロイドを買ったのだろうか。

「うめぇええ!」
「!!」
「おいしー!」
「美味しすぎるよこれ!」

 いつもは素直に感想を言わないジュントでさえも美味しいと叫ぶことからもこの炒飯は美味しいのだ。今までこんなにも美味しい炒飯を食べた事はない。この炒飯は中華料理の達人の舌を唸らせることができるんじゃないのか、そう思うほど美味しかった。
 誠は「光栄です」と頭を下げた。相変わらずの無表情だ。こういう時は店に居たアンドロイドのように愛想笑いでもいいから笑って欲しいもんだ。


 美味しい炒飯はすぐに食べ終わり誠が後片付けをした。楽ができてありがたいのだが、やっぱり申し訳ない。アンドロイドにそんな感情を抱く必要は無いのかもしれないけど。





 しばらく4人でゲームをしたり遊んでいたが時計の針が4時を差した頃に4人は帰っていった。本当、何しに来たんだと思ったが楽しかったからいいや。でも、帰ってほしくなかったな。
 ——だって、無表情のアンドロイドと2人っきりとか緊張しまくるよ! しかもかなりの美形。それに相手には敬語を使われている。一緒に生活するんだから敬語なんて使われるのは嫌だ。

 勇気を出して言ってみるか。


「ね、ねえ誠」
「なんでしょうか、主」
「あっあのさ、お願いがあるんだけど」
「俺にできることならなんなりと」
「っつ……」
 言葉が喉に引っかかって出てこない。勇気を出せ、出すんだナツミ!

「その敬語止めてくんない!」
「え?」

 少し怒ったようになってしまったが言えた。よかった。

「ですが、貴女は俺の主……そんな」
「主の命令なら?」
「——わかった。主」
「名前で呼んで欲しいな。そっちの方が家族みたいだし!」
 どうせなら誠と家族のようになりたい。アンドロイドは苦手だが、それはきっと何も知らないからだ。誠の事を、アンドロイドのことを私はもっと知っていきたい。

「ナツミ」
「うん」

 今の私は最高に笑顔が作れそうなぐらい名前を呼んでもらえたのが嬉しかった。