複雑・ファジー小説
- Re: 【少年少女と】とある天才のイミ【アンドロイドの意味】 ( No.22 )
- 日時: 2013/03/10 18:35
- 名前: せぷてむ ◆9FXqrrTuEc (ID: Z6QTFmvl)
- 参照: 久々のこっうしーん♪
——誠が来て、名前を呼んでもらえるようになってから一週間が経った。一向に笑わない。
別にそれでもいいのだけど全ての動作に感情が無いみたいで、やっぱり家族のようにはなれないのだろうか。それが今の私には悩みの種。誠に笑って欲しいのは私の我が侭だ。でも、笑って欲しい。
「はあ……」
どんよりとした灰色の空を見る。今日の授業つまんないな。先生の話は勿論聞いている。聞いていなくて怒られるなんて嫌だ。だって、学級委員の面目が立たないじゃないか。なんでこんな面倒な事を引き受けちゃったのかな。
そうも考えているうちに授業は終わり休み時間になった。今日の中休みの遊びは自由だ。みんな仲のいい子と固まってしまう。……別に私は友達が少ないわけじゃない。多くもない。でも、多い子が羨ましいとは思うな。
「ナツミ〜、最近浮かない顔してるね」
「うん、ユイ。アンドロイドってなんだろうね」
私の仲の良い友達のユイは基本よく居る。ユイは正直言ってがさつだから気が合うんだよね。猫かぶりしているような女とは違って。
「いきなりなんなのさ」
「んー、買ったから」
「え? マジかよっ!?」
あれ、言ってなかったけ。忘れていたよ、ごめんねユイ。
「まあ、いいけどさ。そんで?」
「笑ってくれない」
「いきなりだな、おい。っていうか、アンドロイドが笑わない?」
いきなりなのはいつものことだからいい加減慣れてよ。
「最初から笑わない」
「え、故障してんの? アンドロイドって笑うプログラムあるよな?」
あ、知ってるんだって顔をしたら「特集で知ったんだ馬鹿!」って怒られたけど。ホント、短気だな。人の事言えないけど。
「なんだろう、『笑う理由が無い』って店の人には言ってたらしい」
「まるで心が”在る”みたいだな」
やっぱりユイもアンドロイドに心は”無い”って思い込んでいるのか。それが普通なんだろう。私は分からないが。
「どーしてだろうねー」
「知らん。でも、”命令”すればよくね?」
「私はそんな無理やり笑わせたくありませーん!」
「えー命令とか似合うのにーププ」
「……くたばれ」
「すんませんしたっ!」
低い声で言っただけなのに、大げさだな。でも、ちょっとは気が楽になったよ。有難うね、ユイ。
——誠の笑顔はきっと綺麗で、どんなに上手な画家が描いても再現できないぐらい美しいんじゃないだろうか。