複雑・ファジー小説
- 番外編 ( No.44 )
- 日時: 2013/03/16 17:10
- 名前: せぷてむ ◆9FXqrrTuEc (ID: Z6QTFmvl)
- 参照: 今更だけど、キャラクター紹介が無いのは仕様なの
——まだ、俺が小4の時の話。
昔から俺は近所の人とかに”顔”を褒められていた。「かっこいい」「きれい」「うらやましい」たくさん、たくさん言われていた。それがもう、うんざりだった。俺が褒めて欲しいのはそんなんじゃない。俺が努力している事を褒めて欲しかった。でも、誰にも気付いてもらえなかった。
ある日、とある芸能プロダクションからスカウトされた。そうか、俺は他の人と比べて顔はいい方だもんな。おかげで友達はたくさんだ。”表面上”のな。本当の友達は男子だけだ。女子は俺の顔目当てで近寄ってきているんだ。スカウトの件は母さんは乗り気だったが俺の意見を尊重してくれるようだ。俺はバスケが出来なくなるのは嫌だったので断った。
翌日、近所の人やクラスメイトになんで断ったのか質問攻めにあった。なんで知っているんだよ、気持ち悪い。何回も何回も聞いてきて嫌になった。家に居ても落ち着かなくなって、家を飛び出した。
飛び出して、当ても無く走り続けた。少し遠いところまで来たようだ。夕焼けが綺麗な頃、一生このままでいいと思うほど綺麗だった。
夕焼けに見とれていると聞いた事のあるような少女の声が聞こえた。
「あれ? なんで村井君が此処に居るの?」
振り向くとショートカットの少女、確かクラスメイトの柊さんだ。柊さんはあまり話したことが無い、近寄ってこない。確かいつも、朝霧さんと宇佐美と喋っていた。
何も答えられないでいると柊さんは悟ってくれたのか「私の家に来る?」と言ってくれた。お言葉に甘えて、お邪魔した。
柊さんの家は高層マンションだった。おつかいの帰りだったようなので買い物袋を持った。本人はいいと断っていたのだが。
「まあまあ、母さん仕事で帰ってくるの6時だからそれぐらいまでゆっくりしていってよ!」
花が咲きそうな笑顔でココアを差し出してくれた。
続くよ!