複雑・ファジー小説

Re: とある天才のイミ ( No.52 )
日時: 2013/03/16 20:45
名前: せぷてむ ◆9FXqrrTuEc (ID: Z6QTFmvl)
参照: おや? 誠くん の 様子が……


 只今、馬鹿女達を追い払って下校中だ。3人仲良く並んで歩く。いや、実際誠は私達の後ろを歩いているのだが。

「あ! 今思い出したんだけどさ」
「何?」
「誠の右腕ってなんかあったんだよね?」
「!!」
「え?」「へ?」
 誠が驚いたのか、小さく声を上げた。私達はおどろいて振り向くと誠は、大きく目を見開いていた。

「誠?」
「……なんでもない」
 何でも無いわけがないじゃないか、あんな動揺しておいて。家に帰ったら問い詰めよう。





「ただーいまー!」
 と言っても私の声が虚しく響くだけだ。誠と一緒に帰宅したのだから。さっさとランドセルを片付けて、理由でも問い詰めよう。



 リビングに行くと誠がニュースを見ていた。どうやら速報だそう。気になって見たら『反・アンドロイド組織による爆破テロ』とでかでかと表示されていた。反・アンドロイド組織って居たのか。てっきりみな、アンドロイドの存在を肯定しているとばかり思っていた。世の中にはたくさんの人が居るのだと実感する。

 このテロはニュースによると、アンドロイド開発所を狙った犯行だそうだ。幸い死者はでなかったそうだ。”死者”は。人間の変わりに大量のアンドロイドが壊されたそうだ。開発所の研究者達が身代わりにしたとかどうとか。随分と勝手な研究者達だな。でも、怪我人は出たらしい。お母さん……怪我して無いといいな。

「誠」
「なんだ?」
 どうしてだろう、誠から凄く悲しいって伝わる。仲間がたくさん死んじゃったから? 産みの親達が怪我したから?
「アンドロイドってなんなのかな?」
「……俺達は、機械、人間の世話をする”家電”だな」
 君はそれでいいの? ”家電”として生きるなんて。君に心な無いの? さっき、あんなにも動揺していたのに。

「ナツミ……」
「何?」
「俺達に心は”在る”と思うか?」

 きっと、昨日までの私なら無いって言うのだろう。でも、あんなにも動揺した誠を、悲しそうな誠を見て無いなんて言えない。言えないよ……


「わ、からない……」
 解らないよ。
 だって、彼らは心を見せようとしないじゃないか。いや、私達が見ようとしてないだけなのか。でも、私には解らない。昨日までの断言できる私は何処へ行ったの。

「そうだよな」
 ねぇ、どうしてそんなに悲しそうなの? ねえ。

 嗚呼、やっぱりそうだよ。アンドロイドに心が無いわけじゃないんだよ。いや、アンドロイドじゃない、誠に心が無いわけじゃないよ。だって、こんな悲しそうな顔をしているんだよ。


「あのね……あのね、やっぱり心が在るなんて解らないよ。でも、ひとつだけ言える事があるよ。誠


 ——君には心が”在る”んだ」





 じゃなかったら、悲しそうな顔はしないでしょ?