複雑・ファジー小説

Re: とある天才のイミ ( No.6 )
日時: 2013/02/12 21:00
名前: せぷてむ ◆9FXqrrTuEc (ID: qXcl.o9e)
参照: 授業でバスケやってたらあごにボールがorz

 生活費の仕送りストップさせてまでアンドロイドを買わせたいのか。まぁ、仕送りストップされてもブラックカードあるし。あ、でも使えなくなっていたら……
「結局買うしかないんか?」
 嫌だけど、お母さんなりの優しさなんだと思う。お母さんが居ない分いつも家事は私がやっていた。それをアンドロイドがやってくれたら便利だろう。趣味にも集中できるし、楽できるし。それなら買うのも悪くは無いな。でも、アンドロイドにも部屋って要るのか。ロボットだから要らないのかもしれないが、あったほうがいいか。どうせ余ってるし。

 それなら、と私の隣の部屋にアンドロイド用の部屋を作ろうと思い、掃除が必要かどうか見に行くことにした。
「うん。綺麗。使ってないもんねー荷物置くほどないしねー」
 掃除なんて不必要だ。凄く綺麗。私の部屋の方が汚い。でも、部屋は殺風景だ。あまり広くは無いが狭くも無い丁度いい空間。ベットは左側に配置されており、窓は白いカーテンが吊るされている。ベットの近くに簡単な造りの机と椅子。カーペットとかは無い。凄く殺風景だ。

「ベットあるし、いいか! ま、買ってからでいいよね」
 家具とかお母さんに送ってもらおうかな。


 ……でも、なんか嫌だな。
 アンドロイド、私は嫌いだ。いや、苦手だ。何を考えているのか分からない機械と過ごすなんて。いつ故障するかも解らないし、殺されてしまうかもしれない。さすがに思い込みすぎかもしれないが、私の中の何かが乱されそうで嫌だ。

 世の中には逆の考えの人も居る。むしろ多い。
 アンドロイドは人間によって使わされている。ペット……否、奴隷として扱われているのも居るだろうし、純粋に愛されているのも居るだろう。……あまり知りたくの無い事だが、性欲処理として扱われているのが殆どな気がする。だって、文句のつけようの無いぐらい綺麗な顔立ちなのだから……

「でも、私も慣れればなんとかなるよね……」
 八つ当たりとかしそうだ。冷たく接しそうだ。でもいいよね。アンドロイドなんだもん。人間に従うだけの機械なんだし。それに、家事とか全部任せてあんまり関わらなければいいか。あーでも。


 なんで自分がアンドロイドを嫌うのか、だんだん解らなくなってきた。そもそも嫌いだったのか。思考回路がぐるぐるしていて頭が痛くなった。










 ふと目を開けると広がる白。病室のような所だ。ゆっくり上体を起こすと両腕に管が繋がれていた。外そうと思えば簡単に外せた。管は足にも付いており同じように外した。自分を繋ぐものが無くなったのだから、このベットのようなカプセルから立ち上がる。そして、一歩踏み出す。
 生まれてはじめて歩いた気がした。歩くとはこのような感覚なのか。そしてもう一歩踏み出す。
 ウィイン……と病室のドアが開かれた。現れたのは「着物」のような服の上に白衣を羽織った綺麗な女性。

「お目覚めの気分はどうかしら?」
「……まあまあだな」
 勘で解った。この人は産みの親なのだと。女性は「俺」に近づいてきてその綺麗な手で俺の頬に触れた。
「随分といい出来ね。……その右手首のアレ以外は完璧だわ」
 俺の右手首には包帯が巻かれている。俺自身なんなのか解らなかったので女性が居なくなってから見よう。
「アレさえなければ高いのに、アレのせいで貴方の”価値”は下がってしまう。でもここまで完璧な顔立ちなのだからすぐ、売れるわ」
 一体どういうことなのだろうか。俺には理解できない。

「いい主<マスター>に出会えるといいわね。S-10200」
 S-10200は俺の名前なのだろうか。わけが解らない。
「……時期に全て解るわ。それじゃあね。私の創りし”アンドロイド”よ」



 全てを理解するのはそれから数分後の事だった——