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複雑・ファジー小説
- Re: とある天才のイミ Cacophonous Divge ( No.65 )
- 日時: 2013/03/19 17:56
- 名前: せぷてむ ◆9FXqrrTuEc (ID: Z6QTFmvl)
- 参照: 短いし、適当かもしれないのだよ。
「——大嫌いだ」
自分でも驚くほどの低い声が響く。私何言っちゃってるんだろう。何を怒っているんだろう。馬鹿みたい、熱くなってさ。
「……すまない」
「……君が謝る事じゃないよ」
誠の話しを聞いて私は思った。人間は自分勝手で愚かな生き物なんだと。誠があそこまで狂ったのは人間(私達)のせいなのだ。「世界平和」とか、よく絵空事を言っているけど一番なのは私達が消えること。でも出来ないから、それは私も同じ。だから延々と争い続けるんだ。
そんな愚かな人間のせいで彼は、彼ら(アンドロイド)は家電のようにしか扱われてないのだろう。例外も居るだろうけど。
狂ったように話すときの誠の目……激しい憎悪に飲まれていた。恐ろしい——そんな言葉だけじゃ物足りない。
「ナツミ、こんな俺は嫌だよな」
「え?」
「……いきなり暴走して、わけの解らないようなことを話し出して、すでに俺は”アンドロイド”じゃない。ただの喋る——ごみだ」
悲しそうな顔にきゅうっと胸が締め付けられた気がした。ひとつひとつの言葉から彼の悲しみが伝わるようで。プログラムされた気持ちじゃない、本当の誠の気持ちなのだろう。だから苦しくなるんだ。
「そんなの関係ないよ」
「?」
「私は、君がいいから買ったんだよ。今更捨てるなんて無責任なことはできない」
「じゃあ、俺は……」
「此処に居ていいんだよ。いや、居て欲しい」
君は私には必要だから。独りが嫌いな私にとって必要だから。傍に居て欲しいんだ。兄弟、家族のように、傍に——
「……ナツミ」
「ん?」
優しい声音で名前を言われ、ほんの少し嬉しくなる。こんな声もだせるのか、少し感心していたのだが。
「——ありがとう」
優しく微笑んだ誠。まるで色が無い世界に色が着いたみたいで、とても綺麗だった。
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