複雑・ファジー小説
- Re: とある天才のイミ ( No.7 )
- 日時: 2013/02/13 19:22
- 名前: せぷてむ ◆9FXqrrTuEc (ID: qXcl.o9e)
- 参照: ワカナ「私の出番が欲しいぃー」
ピピピ……と鳴り響く目覚ましを止めゆっくり上体を起こす。今は6時。今日も学校か、と憂鬱な気分になる。
お母さんが居ないから朝ご飯とかは自分で作らなくちゃいけない。夜のうちに少し準備しているからいいのだけど。私は素早く着替え朝食の準備をした。
「うわぁ……」
真っ黒。今日は面倒だからパンにしようと思ったのが間違いだった。うっかり焼く時間を長くしてしまった。苦そうだ。でも、気合で食べなくては。大丈夫、私なら食べれる。
苦いもんは苦かった。バターを多めに塗ったから少しはマシだ。でも太っちゃうな……。でも、何も入れてないコーヒーより、ワカナが作った手順間違えすぎたクッキーより数倍おいしい……と思う。思う。
ささっと洗い物を済ませ登校準備をする。今日もいい一日であるといいな。
「ワカナー」
「おはヨ〜」
何故語尾がカタコトなんやて。とはいえいつものことだからスルースルー。
「聞いてよー! 今日さぁ、バスケやんの!」
声を弾ませ言う。ああ、コイツバスケ好きだったな。人の事言えないが私もワカナもいつも体操服だからいつ体育か分からない。
「ナツミたちもバスケやった?」
「んー、明日試合」
「いいなー! ずるい!」
「……」
「え、ちょ、無言やめてぇ!」
いつも通り騒がしい登校。……だった。此処までがいつも通りだった。
ドンッと人とぶつかってしまった。ワカナと喋ってばかりで前方不注意だったからだろう。謝る前に謝られた。
「あの、すみません。立てますか?」
と、透明感のある男の人の声が頭上から降ってきた。顔を上げると一言で言えば物凄くイケメンが居た。柔らかな藍色の眼が特徴的な男の人……
「あの……」
「はっ! こちらこそスミマセン! 前をちゃんと見てなくて……」
我に返りあわてて謝ると男の人は藍色の眼を細め、手を差し出した。
手をとって立てばいいのか? 差し出された手だ。その手を取り立ち上がる。改めてみると、背高いな。そしてカッコイイな。
「怪我が無くてよかった……。今度から気をつけてね?」
「はっはい!」
男の人は「それじゃ」と手をふって行ってしまった。
「ちょ、あの人マジイケメンじゃん!」
「うん。三次元でこんなイケメンに出会うと……は?」
ちょっとまてよ? あんな絶世のイケメンは本当に居るのか? もしかしたらアンドロイドじゃ? だったら、人間みたいに動くな。間違えちゃうじゃないか。でも、紳士ぽかったしよしとしよう。
「ナツミ……」
「何?」
「羨ましい」
「くたばれ」
「何ソレ、酷い!!」
結局いつも通りになった。それが一番だ。
——あの日常が本物じゃないなんて考えたくない。