複雑・ファジー小説
- Re: クイーンの世界 ( No.5 )
- 日時: 2013/02/12 23:36
- 名前: 夜人 (ID: HhjtY6GF)
「う・・・うぅ・・・・・」
額に触れている冷たい何かに気がつき、優は目を覚ました。
目を開けると、優の目の前に小さな少女が優の額に自身の額を当てて目を閉じていた。
まるで、熱を計っているかのような光景だった。
「え・・・だ、誰?」
「ん、目を覚ました?」
開かられた少女の目を見て、優は飛び起きる。
白いワンピース、白い靴、透き通った白い肌、それに似合わぬ小柄な顔についた紅蓮の両目。
燃えるような赤い目に、優は恐怖を感じた。
と同時に、自分が瓦礫の山から出ていることに気がつく。
優が瓦礫の山と化した学校を見渡すと、茜の頭部が見えた。
そして、瓦礫と共に倒れている生徒や職員の呻き声があちこちから聞こえていた。
「ふふっ、驚いてるね。そりゃそうか」
「・・・・・・君が、瓦礫の山から俺を・・・・・・・・・?」
「そうだよ」
「どうやって・・・・・・」
「それより、自分の立場がどういう状況かを聞いたら?」
少女はそう言うと、瓦礫の上にチョコンと座る。
優は少女の小さな動作さえ、目で追ってしまう。
「今日の12月19日から25日までの1週間、上野優君、君にはゲームに参加してもらう」
「はぁ?」
「そして、君には"万物を強化することのできる能力"を与えた。試しにコレを撃ってみて」
少女はいつの間にか、手に真っ白な拳銃を持っていた。
優は常に少女を見ていたが、拳銃を出した瞬間は見ていない。
不審に思いながらも、優は少女から白い拳銃を受け取る。
少女を見ると、彼女は晴々とした笑顔を浮かべていた。その笑顔は瓦礫の山に似合わず、違和感を感じる。
「どうすればいい」
「ずーっと空に向かって撃ち続けてみて。弾が永遠に出るから」
少女の指示通り、優は銃口を空に向ける。
優は普通の高校生で、今まで拳銃を握ったことはない。だが、なぜか使い方を知っていた。
優自身も、なぜ使い方を知っているのか分からなかった。
そして、一気に引き金を引く。
パンパンッと手に強烈な衝撃を浴びながら、弾を1発2発と撃っていく。
10発・・・15発・・・20発・・・撃ち続けても、弾はずっと出続ける。
「それが君の能力。なんでも切れる剣、全てを跳ね返す盾、永遠と弾が出る拳銃、夢みたいでしょ?」
「これは・・・夢だろ・・・・・・」
「でも夢じゃない。現実だよ、リアルリアル♪」
「どうなってる?何が目的なんだ?」
「あ・・・忘れるところだった。そうそう、君はゲームの参加者だよ」
「ゲーム?」
優が聞き返すと、少女は立ち上がって優に近づく。
赤い目でじっと優を見る少女、そんな彼女に優は再び恐怖を感じる。
───ふと、優の頭に何かが浮かぶ。
都民約13万人と超能力者13人の戦い───東京を取り囲む結界───期間は1週間───勝敗がつかなければ東京ごと全員が死ぬ───超能力───サバイバルゲーム───現実───夢じゃない───
「なんだこれは!?頭に勝手に・・・・・・」
「私があなたの頭にルールを送ったの。あなたはこれから、この東京に住む都民約13万人と戦い、彼らを全員殺さないとあなたが死ぬよ。それも1週間以内に殺さないといけない」
「ふざけんな!!」
「ちなみに超能力者は残り12人。さっき、あなたの目の前で死んだ東茜も参加者だったんだよ、能力者サイドの」
少女のその言葉を聞き、優は振り返って地面に転がる茜の頭部を見る。
その瞬間、茜の体が水風船のように破裂した瞬間の映像が脳裏に蘇った。
最早、優は現状を理解することができなかった。
考えようとしても、頭に思い浮かぶものは「夢」という言葉。
「さぁ、早くしないと。すでに始まってるよ、ゲームは」
「どうして・・・俺が・・・・・・」
「それはひ・み・つ。その拳銃は記念にあげるよ、じゃあ生きてたら1週間後に会いましょう」
「おい、待て!!」
優が少女に手を伸ばした直後に、優の意識は再び途切れた。
