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複雑・ファジー小説
- Re: 人魚姫の幸せ ( No.14 )
- 日時: 2013/03/15 16:07
- 名前: 雄蘭【ゆうらん】 (ID: DzlMUhcv)
【No,Twelve】
静かに震える愛華に、店主は声を掛けたが、愛華からの返事は無い。
下を見ている為、愛華の表情は読み取れない。
一体如何したのか、と店主は不思議そうな顔をした。
「愛華ちゃん?」
「…っ貴方には何の関係も無い事だわ」
「…………………」
「だから…っ話す積もりは無い、です」
「そっか…」
「はい」
「うん、良く分かった」
「なら最初から訊かないで下さい」
「痛いトコ突くねぇ」
ケラケラと嗤う店主を見て、愛華はうざったそうにグラスに入っている氷をワザと鳴らした。
静かなバーに、其の音は良く響き、静けさを増幅させる。
そんな時、静かなバーに、重苦しい古時計の音が、日付が変わった事を伝えた。
ボーン、ボーン、と鳴る大きな音は、まるで童話も出て来る様に典型的だ。
古時計の音に、思わず愛華が不満を漏らす。
「…煩いですね」
「えー…そんな事ないよ」
「夜中にこんな音聞いて、煩くないと思う人は居ないでしょう」
「ん、別に大丈夫」
「何でですか…」
「言いたくないなー」
「………言って下さい」
「分かった分かった、だから銃はダーメ」
「…チッ」
「舌打ちしないでね」
「…はいはい……」
「じゃあ簡単に話すよ、」
「……"大切"だからかな」
店主の言葉に、愛華が顔を上げる。
愛華が店主をまじまじと見詰める。
其の表情に、何時もと変わった所は無いが、張り付いた笑顔の奥底には、少しだが、悲しみと言う感情が存在していた。
【人の事を知りたいと思ったの】
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