複雑・ファジー小説

Re: 人魚姫の幸せ ( No.15 )
日時: 2013/03/01 18:36
名前: 雄蘭【ゆうらん】 (ID: m16n.Ntt)

【The volume on extra】

一瞬でも良い。
唯、少しだけでも彼に逢いたかった。
如何し様も無く泣きたくって、如何し様も無く叫びたかった。
けれど、彼はもう此処には居ない。
世界中の全てを、隅々まで探したって、何処を歩いたって、現実が私の事を切り裂くだけで、何も意味等無い。

彼が居ない世界を、好きには成れない。
そんな世界なんて嫌いだし、要らないの。
何をしたって、私の罪は一生消える事が無くて、希望なんて消えてった。

の、筈なのに、私は何でこんな場所に来てるのか。
今更罪滅ぼし?そんなの邪魔になるだけだよね。

「だよね…」

私の目の前。
冷たい土の中の奥底、彼は静かに眠っている。
最近は、気温が低いから、きっと寒いと思うの。

「うん、絶対寒いよね」

其れに、寂しいと思うな。
独りぼっちで眠るのは、凄く不安だ。
だから、私とふたりぼっちで居たいね。

「そうだよ、ね」

私が彼の近くに居たら、温めてあげられるのに。
私が抱き締めてあげたら、寂しくないのに。
そうして、ずっと一緒の時を過ごせたら、どんなに幸せなんだろう。

「  …っ好きなの、」

愛おし過ぎて、壊れそうな位。

「愛してるから…」

そうやって、何時までも自問自答を繰り返している私は何て馬鹿なんだろう。

あれから何ヶ月も経ったけど、未だ、彼の面影を探している。
彼の後姿、笑顔、温もり、優しさ、声を、忘れてしまわない様に、今日も彼を想い続けよう。
其れだけが、私が救われる唯一の方法の気がしたの。

もう、ね、私は終わったの。
人生の光が、大きな闇に飲み込まれちゃってさ、手を伸ばす力さえ起きずに生きている。
過去に戻って、やり直そうなんて思わないから。
彼に逢いたい、逢いたい、逢いたい、逢いたいだけなの。

【私の存在価値が知りたくて仕様が無い】