複雑・ファジー小説

Re: 【悲恋系】人魚姫の幸せ【シリアス】 ( No.17 )
日時: 2013/03/15 16:09
名前: 雄蘭【ゆうらん】 (ID: DzlMUhcv)

【No,Thirteen】

"大切"と言う単語を聞いた愛華は、無意識に内に、店主に問い掛けていた。

「其の、古時計をくれた人、は」
「居ないよ、事件で死んじゃってね。簡単に逝っちゃった」
「何で……っ」
「悲しかったなー」

軽く店主から飛び出た有り得ない言葉に、愛華はまた口を開いた。
いや、もう止められなかったのだろう。

「…っなら、如何して笑っているんですか?」
「うー…ん…世界が汚く見えるから、かな」
「世界、が汚く…」
「そ。笑ってないと、世界が真っ黒に見えるの」
「黒に…?見える」
「其れに、俺が可笑しくなりそうだからね」

次々と店主の口から吐き出される現実。
そんな現実に、愛華は恐ろしさを感じ始めた。
其れと同時に、哀れみの瞳を店主に向けた。
そんな愛華の視線に気付いた店主は、先程の言葉を続けた。

「俺はね、世界が嫌いなの」
「……」
「だから、世界に反抗してる様なもんだよ」

「………も、う、良いです」
「何で」
「もう、十分分かりました、から…」
「そう。なら良いや」

愛華の脳内はフリーズ状態で、もう全てを拒んでいた。
世界の全てが真っ黒に見えるとはこう言う事なんだと、今更気付いた。

【知らない方が良かったならば、止めていた】