PR
複雑・ファジー小説
- Re: 【悲恋系】人魚姫の幸せ【シリアス】 ( No.18 )
- 日時: 2013/03/15 16:10
- 名前: 雄蘭【ゆうらん】 (ID: DzlMUhcv)
【No,Fourteen】
嗚呼、此の人もそう言う人だった。
私と同じ位、悲しくて、辛かった。
なのに、如何して笑顔が作れる。
如何して、そうやって生きている。
此の人は分からない事だらけだ。
思えば、此の人は何処か不思議だった。
まるで堅く、脆い仮面を付けているみたいに冷えていて、偽りの温もりを、大量生産しているみたいだとも思った。
今迄ずっと分からなかった此の人の全て。
漸く、真実が分かった気がする。
此の人は、普通の人間だ。
弱く、脆く、愚かで、哀しく、柔らかい。
其れが普通なのだ。
所詮、今を生きるのに精一杯で、毎日疲れ果てる。
だが、ずっと生きる理由を探し求めている。
何時だって、絶望が纏わり付く最悪な運命は、此の人も、私も、案外同じだったりするかもしれない。
「貴方も、人間ですね」
「ははっ…そーだよ」
「だけど、とても哀れです」
「…そうかも、ね」
「はい、そうですよ」
「俺は、もう、戻れないから」
「…其れは、御互い様でしょう」
「うん。だね」
やっぱり此の人は哀れで愚かだ。
其の笑顔の仮面で自分を隠し続ける訳を、私は未だ知らない。
けれど、何かを守ろうとしている姿は、実に愚かだろう。
人間の悪い所は、挙げればキリが無い。
だが、人間の良い所は、挙げれば数え切れる程度だと思う。
其れで、人間の価値は決まってしまうのだ。
【偽り続ける其の姿に、何処か懐かしさを】
PR