複雑・ファジー小説

Re: 【イメージ曲募集中】人魚姫の幸せ【シリアス】 ( No.26 )
日時: 2013/03/15 16:20
名前: 雄蘭【ゆうらん】 (ID: DzlMUhcv)

【No,Eighteen】

バーを飛び出して、何時の間にか自宅に到着していた愛華は、部屋に入った途端、ペタリと座り込んだ。
全速力で走って来た所為か、息切れが激しく、肩が呼吸と共に上下している。

靴擦れした足が酷く痛み、愛華は本能的に顔を顰めた。
だが、今は原因と化しているヒールを脱ぐ気にもならず、少し汗ばんだ手で、氷の様に冷たい顔を柔らかく押さえた。

じんわりと温まって行く顔が、先程のキスの感触を鮮明に思い出させた。
其れを拒むかの様に、愛華は独りで首をふるふると横に振り、嫌だ嫌だと、小さく繰り返した。

何時もは気を遣っている外見さえ、現在だと余り気にならず、乱れた髪を整える事もしなかった。
きっとぐちゃぐちゃに成っているだろうと予想がつく自分の表情も、全てを愛華は投げ出し、蹲っていた。

身体には、余計で変な力しか入らず、其の分必要な力は一切入らなかった。
愛華は、身体が思い通りに成らない事に、もどかしさと悔しさを感じたのか、表情を強張らせた。
しかし、其れが何かに繋がる訳でも無い。

変わらない今の状況を、愛華は何も出来ない侭、時間が過ぎて行くのを待った。

【所詮無力な地球上の1人と】