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【The volume on extra‐望んだものは特別なことじゃないⅠ‐】

初夏、今巷で人気のお洒落なカフェのテラス席で、愛華は人を待っていた。

綺麗な青空に似合わない酷くイラついた様子で、携帯をいじりながら、足を組み替える。
其の動作も何かを見下す様で恐怖さえ感じてしまう。
愛華の脳内は怒りで沢山で、余りにもムカつき、携帯を誰かに投げ付けたい衝動に駆られたが、そんな事をすれば何かしら罰を受けるのだろうと思い、止めた。

「…っ遅すぎる」

そう呟いた時、愛華の耳に聞き慣れた明るい声が合図も無く飛び込んできた。

「愛華！待った………よね」
「…………」
「…………」
「遅いのよ」
「……ごめん」

「やだ」

「……あ、そう」
「うん」

小さく頷き、愛華はハンドバッグを持ってカフェを出て行ってしまった。
あ、と間抜けな声を漏らした彼、涼太も急いで愛華を追い駆けて、カフェを後にした。
ヒールを鳴らしながら歩く愛華に漸く追いついた涼太だが、如何する事も出来ずに唯、愛華の隣で様子を伺うだけだった。

【丁度暑くなって来た時間帯の事】