複雑・ファジー小説

Re: 人魚姫の幸せ ( No.7 )
日時: 2013/03/15 15:58
名前: 雄蘭【ゆうらん】 (ID: DzlMUhcv)

【No,Six】

遠い意識の中、何時も聞いているアラーム音が鳴っている事に気付き、私は、ゆっくりと上体を起こした。
昨夜の疲れが抜け切っていない身体は、動く事を強く拒み、ずっしりと重い重力を負担させた。
だが、私は自らの意思で重力に逆らい、疲れ切った身体を無理矢理起こした。
そして、未だベッドのサイドテーブルで鳴り続いている時計のアラームを思い切り止め、何をする訳でも無く、唯ベッドの端に座っていた。
だが、着替え位はしようと、ベッドの煩いスプリングをぎしり、と鳴らしながら、立ち上がった。

(…ごめん)

其の時、何処からか懐かしい自分の声が聞こえて来た。
恐らく10代の頃だろう、幼い自分の声。
何故だか、少しの不安を覚え、私は思わず其の場に座り込んだ。
寝惚けている私の脳内に、彼の顔が浮かぶ。
今更何を想うのかと、自分に問い掛けても、答えは出て来ない。
私の中を、何か嫌なものが巡っている気がしたのは、多分私の勘違いか気のせいだろう。

【出来事が何を変える訳でも在るまいし】