複雑・ファジー小説

Re: 異世界武具屋【オリキャラ募集】第8話更新 ( No.133 )
日時: 2013/04/21 15:15
名前: 通りすがりの俺 ◆rgQMiLLNLA (ID: HR/cSb0.)
参照: http://\(・ω・\)SAN値!(/・ω・)/ピンチ!

ようやく決勝である。
俺は少し喉を痛めてしまったので喋ることができない。
まあ普段ははなさないし別にどうってことは……やばいまた悲しくなってきた。

『さあ決勝戦最後の選手、入場です!』

そりアナウンスとともに歓声が沸き起こり魔道具の音が割れる。
少し耳が痛い。さっきから釘付けになっていたレイさんが(→o←)こんな感じになって耳を抑えている。

『今大会初登場にして決勝進出!一回戦では会場を虜にした雪咲空さんの入場です!』

雪咲さんはかなり動きが固まっている。
どうやらあまりにも会場の熱気が高すぎてまた緊張してしまったらしい。
まあ俺は10人ぐらいに見られただけで固まるけどな。

『む?どうやら今回はマイク型魔道具を使用しているようです。これでさらに聞こえやすくなることでしょう!』

ハイテンションなアナウンサーだと思いながら映像をじっと見る。
裏話ではアナウンサーは数十人の単位でいるとか。
まあどうでもいいか。
雪咲さんは少し魔道具をぽんぽんと叩いて確認した後に俺たちVIP席の方を向いて話しだした。

『今回の私の出場は夢にも思っていないことでした、私はクルトンに来て荷物を全て無くしてしまってこんな大舞台に立てるなんて思ってもいませんでしたから』

でも、と言葉を続けて話す雪咲さんに会場は何の事だ?と思いながらもしんと静まっている。

『優しいクルトンの人々が、私をここまで引っ張ってくれました』

『けど危ないことは心配するのでやめて欲しかったです』

何だ、知っていたのかと思い横を見ると少し照れ気味の封季君達と驚いた顔をしているクロさん達がいた。
しかし察しがいい人である。さすがは旅芸人、人の顔は見慣れていたのだろうか。そんな風に考えていると雪咲さんは目を閉じて腰の方からオカリナを取り出し囁いた。

『そんな人たちに感謝の気持ちとして私が作った曲を送ります、聞いてください...』





え?どうなったかって?言う事があるとすれば曲刀は倉庫に眠らずに済んだということだ。別に優勝しなくとも渡すつもりでいたのだが結果オーライであろう。とりあえず言うことはあれのせいで一見さんが増えたということであろう、クロさんの逆襲である。誰か俺にも情けを下さい。

---第八話「旅の道連れ世は情けを」完