複雑・ファジー小説

Re: 第二章・異世界勇者〔異世界武具屋〕 ( No.207 )
日時: 2013/06/08 13:27
名前: 通りすがりの俺 ◆rgQMiLLNLA (ID: HR/cSb0.)
参照: https//サシャさんぐう可愛い

 とある部屋の一室、内装はどこかくらい雰囲気をまとっておりまるで黒魔術のする場所とも言えるような六芒星の模様が書かれた大理石の床、その中心には紫色の布が敷かれた占い台のような机がおかれたそこには一つ、透き通っている水晶が有りそこを見つめているひとりの女性がいた。

女性から見る方には少し荒い映像が映っておりそこには4人の冒険者とその前に立ちふさがる一体の巨鬼が咆哮を上げていた。それを見た瞬間女性は口角をつりあげ呟いた。

「戦争...開始ですね」



雄哉たちは動けないでいた、理由といえば圧倒的力を見たときに出てくる恐怖に飲まれてしまったのだ、美鈴は歯をカチカチと震わし修斗は足でまっすぐ立つことが不可能に、雄哉は見た目こそ何も変わっていなかったが目が明らかに焦点があっていなかった。リックは頬に一粒、汗を流しながらステンダムの方を見据えている。ステンダムはそんな彼らのことを気にせず、ただ食料としてしか見ていないようである。
リックはもしやと思いながら口を開いた、

「俺達は...冒険者だ、あんら魔ノ国に狙われる必要はないはずだ」

「けっ!どいつもこいつも冒険者冒険者、そういえば見逃してくれると思ったかぁ?お前らみてぇな奴らが冒険者?笑わせてくれるよぉ。そもそもなんで食料生かしておかなきゃいけないんだか」

「(言葉の意味がよくわからん、かなり馬鹿だなコイツは)お前ら、国へ向けて走れ、そして応援よんで来い」

「け、けどあんたが!」

リックの言葉に雄哉が言葉を震わせながら反論するが今の状況を理解しはじめたのか美鈴と修斗の肩を叩いてもたつきながらも走り出した。


その場にいるのはステンダムとリックのみとなった。
ステンダムは3人を追いかけたかったが一応武器を抜いているリックを放置するのも違うと考え己の武器を取り出す、それは紫色,つまりは魔鉄鋼からできている物と容易にリックは理解した。そして先程のステンダムの"族長"という言葉から実力者であると判断、本来戦闘は得意としないリックはまともに戦って勝てる相手ではないと思っていた。だからこそ、ここで引くわけにはいかない、ここで引いたら雄哉達の身は自身よりかなり危険になるだろう、それだけは避けたいリックは自身の剣に一つ、宝石がついているところに腰布から出した宝石をはめ、元々はめてあった宝石を腰布へとしまう、準備が完了したリックは魔力を流した。
それにステンダムも気づいたようで鎚を大きく振りかぶる

「弱小種族の人間が魔力使ったって無駄なんだよォォ!!」

顔を愉快そうに歪ませながらリックが潰れるだろう光景を想像しているのだろう。だがその一撃はリックに当たると同時に空をきる。リックの姿が煙のように消えたのだ。

「なっ!?」

「霧隠れ《ミラージュ》だ、錬金術師に無理言って作ってもらった"霧のマナ"、本来は売り物だったんだが」

「そこか!」

背後からの声に反応したステンダムはすぐさま鎚を横へと振るう、だがそれを通して伝わってきたのは雷のような痺れ、みると鎚は電気を纏いながらステンダムに痺れを伝えていた。

「ダブルスロット、って知ってるか?かなり無茶な技術なんだがな、コイツはそいつが出来る、今のは名付けるのなら幻想電気《ミラージュボルト》だな、コイツもまた希少な"雷のマナ"」

見るとリックが持つ剣の刀身についている水色の宝石ともう一つ、先程までは持ち手についていなかった宝石がひとつ、黄色の宝石であった。またもやマナ、痺れはそこまでのダメージにはなっていないステンダムであったがだんだんと怒りが溜まってきているようであった。
そんなステンダムを笑うようにリックは腰布を広げてステンダムによく見えるように言う、中にはそれぞれ色が違う大量の宝石が見えた、それ全てが先ほどのような効果を持っているように思うと寒気がした。

「さぁ、あんたはどのマナが好みだ?売りはしないが体験ぐらいはさせてやる」

リックバースとは秘密裏にマナを売る冒険者であった。そのため人の裏を書く事は慣れていた、故に彼は真っ向からの戦闘よりもこのような心理戦を選んだのであった。