複雑・ファジー小説
- Re: 第二章・異世界勇者〔異世界武具屋〕新企画 ( No.214 )
- 日時: 2013/06/24 19:13
- 名前: 萩柳 ◆iyaXancGb6 (ID: z3CYtkTJ)
- 参照:
取り敢えず襟と腕を掴みに掛かった両手は下ろします(冗談です)
こういう企画には食い気味で参加する柳が居ますよー
義兄はそれを羨み、父はそれを私が持つを疎んだ。
【『私』】
相変わらず殺風景な独身寮で目が覚めた。
布団でゴロゴロするのも捨てがたいけど取り敢えず起き出して誰かが寝てた形跡が消えるほど丁寧にベッドメイクする。隊長にしては狭い一人部屋は備え付けのベッドや冷蔵庫以外は特に何があるわけでもないから、入った人は結構吃驚する。私物は精々何着かの軍服と下着とタオルと幾らかの消耗品と…サイドボードに置かれた古臭くて薄汚いテディベアくらい(だいたい皆このテディベアに驚く)何故こんなにも殺風景かと言えば、特攻隊(殆ど葉擦さんが原因)と呼ばれる第一部隊で勝手にダンジョン攻略に行ってるわけで、いつ死ぬかも分からないから葉擦さんが死んだ後何時死んでもこの部屋が次の人に滞りなく渡るように。テディベアに関しては、やたら責任感だけは強いお兄ちゃんやら心配性のラウロ君に一応の遺物として渡るように。
だってまぁ、思い返す縁くらいが合った方が割り切りやすいでしょ却って?
私服の持ち合わせはないからパジャマ代わりのシャツの上にそのまま軍服を着込む。緑色の軍服は本来隊長が着るものではないし、その隣には妙な威圧感で真っ黒な軍服が引っかかってる。式典とかでしか着ないけどね。(絶対着てないと思った奴、残念だったね葉擦さんにもそれくらいの常識はあるよ)
冷蔵庫に突っ込んである栄養を溶かしただけの味もクソもないクッキーのような糧食をビタミン系を溶かし込んだゼリーと流し込む。
あー、まっずい。
まぁ味がないのは葉擦さんの料理と大差ないかな?
これでカットラスを腰にさせば………………………あ、今新しいの頼んでるんだっけ、じゃ、これでいいか。
やっと空が白み始めた時分、廊下を歩いても当然人とは出会さずただカツカツと靴音が反射するのがなんとも寂しいな。
勝手に歩いて来た先は演習場。勝手に訓練用の軍剣を拝借して振り回す。
目の前に仮想の敵…この間のオークなんかを思い浮かべてひたすらに振り回す。
部下に見られたら幻滅させてしまうかな、と思えば人がいる時間帯にできない。それと、自分で言うのもあれだけど女子枠で見たらクルトンでも五指に入るくらいには強いと自負してる葉擦さんが他の人たちと一緒になって訓練してたらけが人が出かねないのも一つ。
そして、今日取りに行く剣とそれで次に攻略するダンジョンを思案する。
次はどこへ行こう、あんまりドラゴン系行ってないしそっちがいいかな…。
空が明るくなってきたので一度やめてシャワーを浴びるため演習場を出る。
生き急いでる、なんて皆勘違いしてるけど違うからね。
シャワーを浴びてまた服を着込むのも面倒なのでシャツとスパッツ(流石にショーツで行動する趣味はないよ)で涼んでたら、部下の一人と出くわした。
「あら、ラウロ君。」
おはよ、と彼に軽くてを上げて笑いかけるとラウロ君は硬直してから茹で蛸のように真っ赤になってすごい勢いで「おはようございます、隊長!!」と頭を下げて走っていった。
ありゃりゃ。驚かせちゃったかな?
時間を見ればまだ五時、ラウロ君頑張るなー。
正直、彼が一番勘違いしていそう。
私は生き急いでいるわけでも、人生をエンジョイ仕切ってるわけでも(それなりにはしてるけど)なくて。
誰にでもわかりやすい基準で、私の価値を示したいだけ。
それがあまりにも分かり易すぎて誰かを追いつめると知るまで、数時間。
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中留くん事件の日の朝の葉擦さん、なんか話の趣旨が変わった。