複雑・ファジー小説
- Re: 第二章・異世界勇者〔異世界武具屋〕新企画 ( No.236 )
- 日時: 2013/08/01 09:12
- 名前: 通りすがりの俺 ◆rgQMiLLNLA (ID: HR/cSb0.)
「なにをしているのですか?」
その声をかけた途端、闇の武具商人ハイドロンの前で石を振りかぶっていた武具や店長ガンジは糸が切れたように倒れこんだ。おそらく長らくの監禁生活によってかなり精神的に疲れていたのだろう。
この人物は普段こそ大人しいが精神的に疲れてくるとなりふり構わなくなってくる性格の持ち主である。ストレス発散としては一人静かに仕事することらしいのだがそれは監禁されているなかでは無理だったのだろう。
「な、何もんだてめぇら!!」
ガンジが倒れた音に見張りが気づき声を上げ助けを求めているが今この場には見張りは一人しかいない。覚悟を決めた見張りは腰につけていた短剣を手にハイドロンに飛びかかった...がそれは空中から落ちてきたかのごとく水平に綺麗に首に一撃を入れたイルミスによって防がれた。
「ありがとう、ところでイルミスの方はどうでしたか」
イルミスとハイドロンはここに来るまでに双方向に分かれた一団を見て人数が多い方にイルミス、少ない方にハイドロンが向かったのだ。そういうハイドロンの問に答えたのは少し遠くから聞こえてくる息切れの音。
「はっはっ、ちょ待てお前」
獣人の見境リア、ガンジの前ではフォールスなんて名乗っていた者だ。運ばれたのは技術者ばかりであったはずだが見境は詐欺師、持ち前の語学力で切り抜けたのだろう。
「他は?」
その言葉にイルミスはただ首を横に振った、スカウト失敗らしい。まぁそこらへんはハイドロンは気にしていなかった。
「ガンジ君起きなさい、これから作戦を教えますから」
既に作戦に組み込むことを決定しているのだろう、ハイドロンは右手の手のひらでガンジの頬をペチペチと叩く、少しシュールである。
「・・・それで?なんなんだい逆転の策って」
「あぁ簡単ですよ」
見境の問にハイドロンすぐに答えた。
「まず魔ノ国の国王ジーガンは操り人形です」
「はぁっ?!」
「そして側近の四大魔族と呼ばれる奴らは魔神族のジーガンが作り上げ、直属という肩書きを利用し命令を書き換え、そうして命令をしっかりと聞くものだけを選別させ、ついにクーデターを起こします、そして次にすることは一つ、とある魔物の復活です」
「・・・・・・・・・魔物?」
「とある地面のそこに眠る伝説の魔物、応龍。彼らの狙いは間違いなく世界征服です」
なんだかトンチンカンな声が聞こえるとガンジは目を覚ました。