複雑・ファジー小説

Re: 第二章・異世界勇者〔異世界武具屋〕新企画 ( No.252 )
日時: 2013/08/25 10:37
名前: 通りすがりの俺 ◆rgQMiLLNLA (ID: HR/cSb0.)

———第2章・最終話「勇者とは何か」

結局、あの大きな魔物たちは全て始末でき再びクルトンに歓声が舞い降りた。勇者こと俺《雄哉》は勇者らしいことは何一つせず周りにいた眷属達と戦うことしかできなかったが共に戦っていた鳳中瑠という人は「お前がいなけりゃ打ち漏らしてたかもしれない」と慰めの言葉をかけてくれた。わかってはいた、元の世界でただの高校生だった俺が前線で戦うにはあまりにも時間が必要だったのだ。それでも……役に立てなかったことに不甲斐なさを感じていた。そして今、俺の目の前では栄誉祝典が行われていて何人もの戦士が勲章や褒美を受けている。勇者であるはずの俺がそこにいないということだけでも俺を責めたてる。とそんな時、空席だった左の椅子に一人の男が座った。どうやら遅れてきたらしい(ちなみに右は美鈴達である)、俺はその男が妙に気になってちらりとその顔を見た瞬間、息が詰まった。

「………」

この男の人、滅茶苦茶怖い。身長も高いがまずガタイがいい、そして彫りのある顔で隠れた目が黒く影をまとっていて正体不明とも言える。真正面から見ればまた変わるのだろうがこの人すごく怖い。と思ったその瞬間、栄誉祝典を受けていた(確か葉擦という)人がこちらを見てギョッとしてツカツカ歩いてきたかと思うと隣にいた人を猫を掴むように持ち上げ...ってえぇ?!
………あ、そのまま持っていった。



「ガ~ン~ジ~くん、何自分だけ逃げようとしているのかな?」

「受理は拒否したぞ」

そんな風に小声で言い合う俺と葉擦さんにつられ祝典を受けていた周りの人も小声で話しかけてくる。

「お、帰ってきてたのかガンジ」 「通りでいないと思ったら...」 「後であの魔物を素材にして武器作ってよ!」 「ばか、声が大きいって」 「バカとはなんだ」「お前じゃねぇよ」 「馬鹿とは何だ」 「そんな言葉の心理とは何かみたいに言われても」  

うん、カオスである。長い牢獄生活から脱出できたかと思ったらこれかよ、まったく。
………まぁたまにはいいかこんなのも。

「えー、静粛に。それでは続きを………」

皆を黙らせると再び言葉が始まった。ちなみにほとんどが右から左に受け流していることだろう。