複雑・ファジー小説

Re: 第二章・異世界勇者〔異世界武具屋〕新企画 ( No.254 )
日時: 2013/08/25 11:00
名前: 通りすがりの俺 ◆rgQMiLLNLA (ID: HR/cSb0.)

 結局、皆受け取るものは受け取って解散。俺も早く店に戻り開店の準備をしたいところなのだが…そこで事件は起きた。先ほど祝典を行っていた王の間(実際には相変わらず王の姿はなかったが)で少しばかりの大声が聞こえた。普から厄介事からは逃げるたちなのでそのまま城を後にしようとしたが急にむず痒くなりやはりその声のする方へと向かったのだ。




俺の言葉に皆驚いてた、当然だ。今しがた帰還用の魔法が完成したと大喜びでお城の人がやってきていたのだ。何でも時間や星座的なことも関わってくるため今しないと次いつ発動できるかわからないそうだ。そのたった一回かもしれない帰還用の魔法を俺は拒否したのだから。

「雄哉、お前正気か!」

「帰れるんだよ?!」

「………母さんにはいつも通り元気だって伝えてくれ」

既に魔法は発動し二人は魔法陣の中に入って手を伸ばしている、が俺は手を取らない。こいつらは元々俺のせいでこっちに来てしまったのだ。その責任も取りたかった。

「俺は、せめて、いつか、みんなの役に立てるようになりたい」

俺達を庇ってくれたリックさん、少ない時間をさき世話をしてくれたラウロさん、経済的な面からの補助をしてくれた亜全さん達。俺はまだこの方たちに恩を返していない。だから、修斗達とはお別れだ。

「もう少しだけ、勇者する」

そんな時、後ろから声がかかった。

「別れたいのか」

酷く落ち着いた声だった。まるで何かを我慢しているような。
その言葉に俺はただ、大丈夫と答えようとしたがそれは後ろから遮られる。

「本当に別れたいのか、二度と会えないぞ」

その言葉は何故か親友たちの言葉よりも重みを感じた。そんな声につい俺は本音が出てしまった。

「…帰りたいよ、また皆で騒ぎたい」

そう言った瞬間、浮遊感を感じたかと思えば俺は飛んでいた。
比喩的な意味ではなく実際に飛んだのだ。そしてそのまま俺の体は魔法陣の中に入ってしまい俺はそのまま元の世界へと飛ばされたのだ。

勇者とはなんなのか、俺にはその答えがその時分からなかった。だけど飛んだ時に聞こえた声は今でも覚えている。

「別れたくない奴がいるなら…絶対一緒にいてやれ」

その声は少しだけ、寂しく感じた。

———第2章・異世界勇者 完

~あとがき~
はい、というわけで2章完結です。え?2章で悩んで問題とかはどうなった?それは彼ら次第です。今回書きたかったのはいろんな伏線や戦っているオリキャラ達です。
そうしてテーマは「解決しない物語」そもそも高校生ぐらいの人は結構悩んで結局大人になってようやく意味を理解したのするじゃないですか。だからこそ、いろんな問題は散りばめたまま彼らには帰っていただきました。
そしてもう一つ書きたかったのは「象徴としての勇者」結局彼らはこれといった活躍もせず帰りましたよね?だって録に実践すらしていない人が勇者になって戦えます?無理でしょう。私としましては"あくまで象徴"であり書いてはいませんが象徴故のいいこともありました。例えば勇者がいる、というだけでも人は安心できたりしますよね。ほら、家の隣に警察の人が住んでたら安心しません?例えろくでなしであっても、それを書きたかったのです。

次は 第3章・異世界武具屋「武具屋開店」と致しますのでしばしお待ちを