複雑・ファジー小説

Re: 裏切りゲーム ( No.40 )
日時: 2014/02/07 17:05
名前: 咲楽月 ◆//UrPiQv9. (ID: J9PmynZN)

パンパンッ!

 手を叩く音。メイは今まで「2回手を叩く」と言うのは、「作業をやめて音の主を見る」という意味の合図だと思っていたために、目を開けた。今思えば、この時目を開けなかったら死んでいたかもしれない。

 その瞳に飛び込んでくるように入ってきたのは、  銃。

「!!?」
 がたたっと彼女は物凄い勢いで立ち上がった。と、 ーーーヒュウン ズッ……

 寒気がした。先程まで自分が座っていた椅子の座布団の部分に穴が開いたのだ、無理もない。座布団の部分から下を覗くと、手裏剣が見えた。

「さっすが、メイさん」
 はっとして上を向くと、さっきの少女がいた。2階の床が透明になっていて、彼女の姿、全身が見える。彼女は床の小窓から手裏剣を投げたようで、小窓の前に屈んでいた。彼女はそこから飛び降りると、着地。そしてフードの奥から微笑むと、

「やっぱり銃には嫌ぁな思い出があるようで」
 この部屋は凄く響くようだ。然程さほど声を出していないのに、部屋中に声が響きわたった。彼女はSPみたいなマイクをーーーマイク? あぁ、それが響いた原因かーーー口元へ近付けて、何か呟くと、メイへと手を差し伸べた。

「説明は此方で致しますので。来ていただけますか?」
 メイは戸惑った。名前も知らない相手に、着いていっても良いものだろうかと。そもそも、移動する意味がない。けれど、目の前の少女は此処では何も話してくれなさそうだ。メイは着いていくのが妥当だと践んで、彼女の手を取った。

「っ!?」
 不意を突かれた。意識が薄れていく。毒でも吸ったのか、まぶたが閉ざされていく。力が、入らないーーー。

「ふぅ」
 一仕事ついたとでも言うかのように、彼女は溜め息をついた。

「道順とか覚えられて、逃げ出されたりすると面倒なのでね」
 後ろを振り返り白衣の男にVサインすると、隣で控えていた者に合図し立ち去った。