複雑・ファジー小説

Re: 裏切りゲーム ( No.45 )
日時: 2014/02/14 21:20
名前: 咲楽月 ◆//UrPiQv9. (ID: J9PmynZN)
参照: 誕生日だよ僕! 誰か祝っt((ry

メイちゃん起きろ!
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「え、篠……?」
「あ、匡匪先輩、お久しぶりです」
 篠は吠兎に向かって御辞儀をすると、今入ってきた扉を開けた。

「これから改めて説明があるそうです。1階上の会議室で行うそうなので、移動しましょう」



 篠は落ち着いていた。いや、篠だけではない。名前をまだ聞いていない彼も、結縁も。メイが目を覚まさないのも、気掛かりだった。

「———此処のようですね」
 さっきの紙を見て、彼はそう言った。扉を開け、中へ入ると、横長のドーナツのような会議机と、大きなモニターが目に入った。それに目を奪われていると、声をかけられた。

「えっと、此処に座るようですね……っと」
「匡匪吠兎です」
 彼女はぶっきらぼうに答えた。警戒心がまだ消えないようだ。そもそも、まだ名前も聞いていない。警戒するのは不自然ではなかった。

「そうか……。僕は拓って言います。宜しく」
 そう言って手をさしのべる。その手を彼女はぎこちなく握り返した。

 椅子に座り、メイを寝かせる。そして自分の縞模様のカーディガンを掛けてやるのを見ると、拓はこう言った。

「随分優しいんだね。もしかして君の彼女「俺は女です!」……そうか、すまない」
「……メイは、メイは妹みたいなもんですから」
 吠兎はそう言うとメイの頭を撫でた。メイは気持ちよさそうに眠っている。拓は微笑んだ。
 吠兎は音楽を聴こうと首に手をやった。しかし、ヘッドフォンはない。あぁ、もう! とそのまま手を上に持っていき、頭を掻きむしった。ふとモニターに目をやると、モニターの前にあのフードの女が立っていた。

「っ!」
 吠兎は勢いよく立ち上がると、彼女を睨み付けた。それを見ると彼女はくすっと微笑した。

「そんなに怖い顔しないでよ。ゲームを始めようと思って来たんだからさ」
 そう言うと、目を瞑り大きく深呼吸をした。そしてまた目を開けると、にっと笑ってこう宣言した。

「——これより、ゲームを開催する!」