複雑・ファジー小説

Re: 裏切りゲーム ( No.58 )
日時: 2014/03/06 21:14
名前: 咲楽月 ◆//UrPiQv9. (ID: arQenQl7)
参照: 拓さんside! 短いけども。

 拓は腕を組んで、椅子に座り直した。
 ——やっとゲームが始まる。そう思うと、とても落ち着いては居られなかった。兄、そしてあの娘の為にも、生きて帰らねばならない。緊張感が高まる——。

 トン、とトランプを重ねると、Ⅶはトランプを配り始めた。さて、何をするのか。拓はにやけが止まらなかった。いや、微笑みと言うべきか、彼の口元は明らかに緩んでいた。それに、Ⅶは気付いていたのだろうか。

「さてさて、ババ抜きだよー。抜けた順番が早い人から3人ね、生き残れるのは」
 拓はトランプを手に取り、素早く対のカードを抜いていった。ジョーカーは—— ない。少しほっとして、残りのカードを調べた。
 残ったカードは5枚。運は先ず先ずといったところか。スペードのA、ダイヤの7、クラブの8、スペードのJ、ハートのKの5枚だ。

「うーん、じゃ、ダイヤの7を持ってる人から時計回りね」
 Ⅶがそう指示し、拓は篠からカードを引いた。カードは、ハートのJだった。これは、いけるかも——、と密かに期待を寄せ、彼は2枚のJを捨てた。