複雑・ファジー小説

第一話 ( No.3 )
日時: 2013/04/01 19:37
名前: 旦吟 ◆zXzD5537C6 (ID: ncaxrNZI)

【第一章 怪奇】
          ー第一話 思い返すー


 ムカつくほどに太陽が熱かった。
 暑すぎて、暑すぎて、前の休み時間に水道で水をがぶ飲みしたはずなのに脱水症状を起こしているようにさえ感じる。
 授業になんて集中できるわけないじゃないか。
 彼女の向こう、横にやられた曇りガラスの脇にグラウンドが見え、そこに緑を茶色の細いものに沢山くっつけたのが植えられているのが分かった。緑は風に揺れて、教室のこの場所にいてもどんな音が立っているのか想像できる。
 独特な張り付くような感覚が背中に現る。隣の彼女は実に集中力が高く、ノートに黒板の文字を教師以上に綺麗に写していた。イラストなども取り入れていて、とても見やすい。後で借りて写させてもらおう。とりあえずこの時間は——春、僕がこの高校にやってきたときのことを思い返してみるとしようか。



 あの時の僕は普通に日々を送ることを幸せだと思い、自分の幸せを願った。つまり、ごくごく平凡な日々を願った。高校に入った初日でそれは呆気なく崩れ去ることになったのだが、まああの濃いメンバーでの生活も悪くはないので、別にこのままでいいだろうとは思っていた。疲れはするが、なかなか楽しいものであったのも事実。
 と、漸く思えるようになってきた頃。僕のその変わった日常は去っていった。
 それは五月中旬と微妙な時期のこと。僕は推薦で受かった黄燐高校から、隣接するこの秋庭高校へ転校することになったのである。理由はイマイチ理解し難いものであったが、別に僕はどうでもよかった。理由も転校も、僕にとっては些細なことだったのだ。平凡な性格とは言われるが、わりとぶっ飛んでいるところもある僕である。そもそも、性格に平凡もクソもあるかという話だ。
 そんな僕は朝、秋庭高校に行くにあたって必要な物を準備しているところだった。

 ————が。

 無い。無い無い無い無い。
 部屋は泥棒が入った様な惨状だった。押入れの中の引き出しはひっくり返り、机の収納スペースからはモノがはみ出ていたり、何より見えるはずの灰色のカーペットが物で沈没していて見えなかった。この後片付けるときのことを思うと鬱だが、そうも言ってられなかった。一刻を争うのだ。前日に準備しておけば良かったものを、面倒だからと言う理由で任務を放棄してしまったのが運の尽き——いや、運とかそういう問題じゃなくて、やることをやっていなかった報いなのは一応分かってるのだが、言い逃れはしたくなってしまうものである。

 騒音。騒音といっても色々な種類のものがあるが、ガタガタと崩れ行くイヤな——最も聞きたくない音が僕の耳に届く。終わった……一瞬でそう感付き、肩を落とす。
 次の瞬間には物置の前に物で出来た山が聳えていた。地味に脹脛(ふくらはぎ)に物の角が当たっていて痛い。立ち上がると擦れ、おそらく後々蚯蚓腫れになるであろう引っ掻き傷の完成だ。できれば完成して欲しくなかった。
 そろそろと立ち上がると、引き出しや箱の中から出てきた愉快なもの達が少しずつ将棋倒し的なことになってしまった。ワシャワシャと髪を掻き「えいっ」と椅子に飛び移る。その拍子に真っ白な壁にかけた丸くモノクロなデザインの、カチカチと音を立てるものを見やった。長い針と短い針は丁度棒状になっているようにも見え、それらは其々数字の「6」と「1」を指していた……そう、指していたのだ。

「——僕の今までの焦りを返して欲しいな」

 椅子の上で蹲る(うずくまる)と、何かポケットの中に硬いものが入っているのに気がつく。手を突っ込むと、やはり硬く細い感触。引っ張り出すと、それは正しく探していた物だった。

「……は?」

 一度ギュッと目を瞑り、また開き目を擦る。やはり目に映るのは同じ代物。また、先程より強くギュウッと瞼を鼻に皺を寄せ押し付け目を擦る。紅色のビー玉に映るのは同じもの。またまたギュウゥっと闇を作り出し指を擦りつける。……やはり、それはどう見たって正真正銘僕が小学校中学年時代から愛用してきた青い「シャープペンシル」だった。何はともあれ、見つかったのは喜ぶべきかと思うが……。

「何、そのオチ……」

 正直、嬉しいとは言えなかったその日の僕であった。



 そんな朝までのことを思い返しながら、当時の僕は暖か過ぎる日差しの中、紺色の糸を熱くさせ気だるげに歩いていた。
 天候は良いようで、無駄に澄み切った大空がなぜか腹立たしく感じる。綿菓子のようにフワフワとした実体のない白いものは、風に流されそれを背景に遊んでいた。僕はそれを見上げ、無駄に強い日差しに目を細める。

「……」

 間違えないよう、黄燐の隣の秋庭へ入ってゆく。道に植えられた桜の木には既に薄ピンク色のものは無く、緑色のものがはえていた。少し前までそこらを彩っていた繊細な花弁が儚く散りゆく場面が安易に想像できる。妄想しながら「綺麗だなあ……」と思わず漏らしてしまった。
 目の前にあったのは大きく古びた校舎に変わりはなく、僕は慣れない玄関に吸い込まれるように入っていった。校舎自体に取り付けられていた時計の針は約七時五十分を過ぎていて、殆どの一般生徒は教室の中で朝の活動をしているところなのだろう。僕の周囲には誰一人人間は居なかった。しいて言えば事務の先生が事務室の中で電話をしている、といったぐらいだ。
 冷たい廊下に新品の上靴を投げ、同年代と比べれば「小さいね」と殆どの人が言う23センチの足を突っ込む。すっぽりと綺麗に収まり、僕は職員室の札がにょきっと生えたドアの前まで歩いてノックした。中から微かに物音。続いて「はい」と人の声がして、スライドドアが横にずれ、職員室とこの時間に空きがある教師たちが僕の目に顕になった。

「月野です……あ、此間はどうも」

 扉を開けてくれたのは本屋でおつりを派手にぶちまけてしまったとき、拾うのを手伝ってくれた綺麗な赤茶髪の女性だった。彼女は僕の言葉に曖昧に笑ったが、顔に「何のことだ……」と書いてあった。

「ほら、此間本屋でおつりを拾ってくれたじゃないですか。僕、あのときの餓鬼です」

 結構僕は記憶力がいいのかもしれない。笑みを貼り付け女性教員に説明したが、彼女は「暫く本屋行ってないな〜今度行こうかな」というばかり。どうやら行った記憶すらないようだった。いや……今思えば僕の記憶違いだったのかな? だとしたら軽くショックだ。

「……まぁ、これから宜しくお願いします」軽くお辞儀して言うと、少し長めの髪で前が埋められる。

「おー宜しく〜」適当な声が頭上から聞こえた後、僕は「教室行きません?」と切り出した。何故生徒である僕が切り出しているのかは特に気にしていなかったが。


 この女性教員こそ、今黒板の前で忙しなく白いチョークを動かす彼女・橘 梅(たちばな うめ)であった。教師と生徒という関係は保たれつつ、結構人間としても仲は良いほうに思っている。少なくとも、僕は。
 彼女は面倒くさがりではあったが生徒思いで、且つわりと教え方もいいと評判だ。なかなかルックスもいい。だが独身だ。本人曰く「結婚する気はない」とのこと。こういう人が多いから近頃少子化が問題となっているのだろうと言うと「そりゃそうだけど強制じゃないでしょ? 私は男より金が欲しいんだ」と返されこの話は終わった。後になってあまりにも相手への考慮が無かったと思い、謝りに行ったら全く気にしていなかった彼女にこき扱われたのは今となってはネタ話でしかない。
 夏の暑さは教室内の生徒たちを蝕むばかりだった。
 僕の目の前に背中はない。彼は今日、頭が痛いとかいって休んでいるらしい。おそらく仮病だ。居たらきっと彼は授業中僕に語りかけるだろう「この暑さどうにかならないか」と。まあ、どうでもいいか。休み時間に濡らしておいたハンカチは生温かったが、それでもと首元に置く。案の定微妙な温度のそれはぴたりと首筋に張り付いた。やはりイマイチなので取る。
 授業中と言うのは暇なものだ。尤も、真面目に受けていれば暇ではないのだろうけれど、この教室内にいる生徒の四割五割は各自別のことをやっているように見受けられる。梅(プライベートではそう呼べと言われた)はそれを全く気にする様子なく、ただ淡々と授業を進めて行っていた。

 ……と。梅の指先が一番前の端っこの奴に向けられた。そいつは特に真面目に受けていたわけでもなく、こっそり携帯を弄っていたらしい。慌てたように机の引き出しに何かを入れたのが見えた。まぁいつものことで、梅は怒る気もないらしく「ここ、前に出て解け」と気だるげに言った。彼女自身もこの暑さに参っているみたいだ。

「えー……」何て言いながらも、彼女は前に出てきてチョークを持ち、問題を解き始めた。既に誤答確定のコロコロとした文字を並べているのを見ると、彼女の頭の出来はあまり良くなさそうだ。

「ハイ外れー」

 ぷぷっと噴出しそうな声を発した梅は「席に戻っていいよ」と肩を落とした彼女に言った。教室内は彼女——東野結花と同じく解らなかった者と、解った者に分かれる。因みに一応僕は解った。おそらく……いや、絶対隣の彼女は解ってるだろう。いつものふわりとした微笑みを浮かべて、前を見つめていた。

「じゃあ、次は——」

 そう言って、教師用の教科書を捲る彼女。そのとき、ガタンッと派手な音が耳に届く。

「す、すみませーん……」

 一番前の端の椅子が倒れていた。近くにはいそいそと身を縮ませる、茶髪を左側に結った少女。すぐに椅子を直し、ぽんっと座る彼女は紛れもなく先ほどの東野結花である。

「よくやるねー。まぁいいや、次——」

 その声を、チャイムが遮った。梅は気にする様子ゼロで教科書を閉じ、嬉々としてそくさと教室を出て行ってしまう。まぁこれもまたいつものこと。

「…………」

 隣の彼女が苦笑いを浮かべている。生徒たちは各自行動に移し出した。
 肘を突いてまた、僕は外を眺める————。

Re: 日常異常(仮定) 【オリキャラ募集】 ( No.4 )
日時: 2013/03/21 19:35
名前: 旦吟 ◆zXzD5537C6 (ID: xTLxRpAm)

    ー2ー

 溶けてしまいそうだ。暑すぎる眼差しは人間を溶かし、熱中症というものを引き起こす。どうしようもないこの気温を引き起こす太陽がこのときばかりは途轍もなく憎かった。尤も、あの球がなければ僕らが存在することは不可能なので「消えてしまえ」とは言わないが、そう言ってしまいたい心情にはなる。
 目の前のアスファルトに、水溜りがあるような錯覚を覚えた。暑さ故だろう。別に最近雨が降ったわけでもない。学校を出たばかりなのに既にバテた怠い体を半ば引き摺るように灼熱のアスファルトを叩いた。
 だが、この二人にそういった様子は見受けられない。むしろこの暑さを楽しんでいるようにさえ見えるほどに表情は嬉々としたものであった。

 そもそも秋庭(あきば)高校は、隣接する黄燐(おうりん)高校の分校だという説がある。僕がそれを知ったのはつい最近のことであるが、僕はそれをとあることで知った。何故知ったのかは忘れてしまったが、どこかで聞いたのだろう。そういった噂は黙っていても耳にするものである。
 特にその説を知り、何か得があるという訳でもなさそうだが、ちょっとしたネタにはなる。僕はそのことを聞いたとき、そう思った。そのとき思ったことまで結構鮮明に覚えているのに、何でシチュエーションだけは思い出せないのか不思議である。
 兎も角今、目の前にいる奴はそれをネタにし、話を盛り上げていた。つまりは僕は、ネタをとられたというわけだ。もう少し早くこのネタを使っていれば……なんて思ったところで、何も変わらないのだが。

「——でさあ、その時に校門のところにある半球があるだろ? それを黄燐と秋庭でわけたらしいぜ。分別記念ーとか言って」
「なら秋庭が黄燐の分校って決定っしょ。黄燐にもあったよな? 半球型の像」

 げんなりと様子を眺める僕とは違い、二人の会話はとても弾んでいる。ギラギラという効果音が付きそうな程に強烈な日差しが暑く、髪を焦がす。猫背になりがちな背筋を何となく伸ばし、鞄の紐部に手を掛ける。

「いや、それがな、大きさが違うんだとよ。誰かが円周測ったらしくてさー。まぁその測った奴は不明なんだけどな。黄燐のほうの奴って事だけは確かだ」と、ブンブンと黄燐の鞄を振り回しながら、彼は軽い調子で言う。

「は? いやいや、じゃあなんだよ。『おそろいにしましょ』とか言って当時の校長が大きさ違いで発注したワケ?」

 一瞬爆笑モノのキョト顔を浮べた片割れは、ヘラヘラと笑った。鞄を高く投げ、ボフッとキャッチする。

「……君らさ、暑くないの?」

 僕のカラカラのな唇から溢れたのはそんな声で、彼ら二人は一斉に此方を振り返った。

「暑いけど?」

 二人揃ってそう言うと、彼らはケラケラと心底可笑しそうに笑う。はぁ、と深い溜息を吐きたくなり、ついつい吐いてしまった。中(うち)一人が「溜息吐くと幸せ逃げるぞー。あ、 幸せが逃げたから溜息吐くのか?」等と言っていたが、完全に無視だ。

「あ、俺ここだから。じゃあなー」

 鞄を投げていた方が唐突にそう言って、ちょうど僕らの斜め右側にあった一軒家に入っていった。結構デカく、いい暮らしをしているように見える。

「おうー。あ、九十九って家どこだっけ? 方角違かったら送ってくけど」

 ヒラヒラと彼に手を振った鞄振り回しの彼は、僕の方を見てニカっと笑った。犬歯がちらりと見えて、吸血鬼みたいだ。

「あー、あそこで曲がるけど……っていいよ、送らなくて」

 そう苦笑いを浮べると、彼ははぁーと一息吐く。そうしたいのは僕のほうなんだけどな。

「お前、自覚無いの? 自分が女みたいな容姿してる、の——」彼は慌てて口を手で覆った。
「へぇ〜。……五十嵐君は僕を怒らせたいと?」

 黒笑。プルプルと震える手を拳にし、口元に持つ。変に沸き立つ力で、手のひらに爪のせいで血が滲んでくる。

 ニタリ……口角が、不気味に上がるのが自分でも分かった。
 断末魔が響いた其のときの空はまだムカつくほどに澄み渡った青で、綿菓子のような雲がぷかぷかと陽気に航海していたそう。まぁ早帰りだったから当たり前なのだが。

Re: 日常異常(仮定) 【オリキャラ募集】 ( No.5 )
日時: 2013/03/21 19:10
名前: 旦吟 ◆zXzD5537C6 (ID: xTLxRpAm)

 あの後、適当にしばいてやってから普通に家に帰った。特に何も無かった、といえばその通りだが、近所のおばさんに「今日は美術だったの? 赤い絵の具が付いてるよ」と言われた。「え? そうかな? たぶんあれだよ、お弁当に入ってたハンバーグのケチャップ」と言って笑ってやったが。
 兎も角僕は今、自室のベッドの上にいる。僕の家は一軒家ではなく、小さなアパートだった。小さながらにも、なかなかいいところで、夕陽も綺麗だ。僕の即気に入り、此処を借りた 。其れまでは母の実家暮らしで、僕も祖母祖父の家に住んでいた。
 僕の家族構成は、母と僕の二人だけだった。所謂母子家庭という奴だ。別に僕自身はそれで不便もしていなかったし、僕としてはあの暮らしも気に入っていた。ただ、母には少し負担が掛かっているような気もしないでもなくて、僕は高校に入った途端家を飛び出した。その判断が良かったのか悪かったのかは分からないが——。

 一通りベッドの上でだらけてからリビングを覗くと、今朝置きっぱなしにしていたスパゲティが置いてあった。お腹が空いていたからか、なかなか美味しそうだ。ビニール特有のカサカサした音を立てて、透明に光る膜を剥がす。拍子に、クリーム色の細い麺の上にかかったミートソースがつるりと動く。遠くでサイレン音が鳴るが無視だ。腹ペコのとき、美味しい食べ物を前にすればそれは僕の中では当たり前のことだった。
 ぺロリと舌なめずりをしながら電子レンジにかけ、暫く経って箱からそれを出し、透明なバリアーを開いた。ホクホクと白いカーテンが昇り、美味そうな匂いがふわり漂う。近くにあったプラスチックのフォークを取り、僕は椅子に着いた。

 クルクル。
 銀色の小さな槍を廻す。持ち上げ、大きく開けた洞窟に入れる。

「はふっ……中々美味いじゃないか」

 満足気に顔を綻ばせ、次々とそれを口に運ぶ。無我夢中で運んだせいか、すぐに食べ終えてしまった。あの程よい硬さと食欲をそそる香りが口の中にまだ残っている。489円でこんなに幸せになれる何て。コンビニ業界も中々やるじゃないか。まあ、クーラーを効かせていなければ、このスパゲティも『熱い』だけで終わってしまうだろうが。人間の文化に感謝だ。
 空っぽになったトレイにまた、少し赤いものが付いた透明を被せてゴミ箱に押し込んだ。


  ー3 そしてー

 あのサイレン音が近づいてくる。むしろ煩いくらいだ。この距離ならすぐ目の前を通っただろう。
 一体何事なのだろうか。家に帰ったときに脱ぎ捨てたシューズに爪先を突っ込んで、何も考えずに勢い良く扉を開けた。幸い鍵は掛けていなく、すぐに出ることが出来た(それもどうかとは思うが)。
 サイレン音の方に向かい、闇雲に走る。別に行かなくても良かったが、このときばかりは夏の暑さにも好奇心が勝ってしまったのだ。
 ひたすらに真っ直ぐな、未だ灼熱の灰色を白いが黄ばみ、汚れたスニーカーが叩く、叩く、叩く。そして少し曲がる。ちらりと見上げたが、信号機は青だった。そのままのスピードを保ちまだ走る。ここ最近走って居なかったからか、既に息は上がっていた。
 少し向こうのほうに黒い煙の幻覚が見える。僕は息を整えるように、ようやく着いたその場所で立ち止まる。
 ……暑い、異常なほどに。ぐっしょりとTシャツは背中に張り付き、毛先からはポタポタと汗と言う名の雫がアスファルトに堕ちた。ある程度息を整え、顔を上げる。

 ——あ……。

 実は想定していたシナリオだった。轟々と燃え盛る炎。先ほどのスパゲティからあがっていたものとは違った色をした【湯気】ではなく【煙】が、天を衝く。ガラガラッ……と木材が崩れる音がした。オモチャの様な赤く大きな車がまた一台、サイレンを鳴らしやってくる。

 辺りの野次馬たちの顔は皆、朱色に染まっていた。人特有のざわめきの最中(さなか)、駆けつけた消防士等の声がかき消されるようだ。
 押し殺したような啜り泣きが、色々な雑音の中に聞こえた気がした。

“「助けて」って言ってる”って。

 瞬間、僕の世界は端のほうから褪せていった。遠のいてゆく音たちは、まるで一つの壁の向こうに響くようで、僕の脳みそを恐ろしく不気味な靄が浸食してゆく。しかし、はっきりと、はっきりと其れは、回転しているように見えた。上下等無い。もう既にこれは、ただの僕の空想でしかないのだから。
 その現象は一瞬のことで、次には目の前に、蝋燭を巨大化したものが今にも爆発しそうな勢いで燃え盛っていた。鮮やかな彩りも、しっかり見える。

≪一時保存≫

Re: 奇(仮定) ーオリキャラ・コメ募集ー ( No.6 )
日時: 2013/03/20 23:41
名前: 愛深覚羅 ◆KQWBKjlV6o (ID: ozMnG.Yl)

初めまして
小説を読ませてもらいました愛深覚羅です
おもしろそうですね、青春モノ、になるのでしょうか?
まちがっていたらごめんなさい
私は暑いのは苦手です
話からして夏でしょうかね!
これからどう話が展開するのか、気になります
また来させてもらいますね!
その時にオリキャラなど置いて行けたらいいです
頑張って下さい楽しみにしてます

Re: 奇(仮定) ーオリキャラ・コメ募集ー ( No.7 )
日時: 2013/03/21 00:30
名前: 旦吟 ◆zXzD5537C6 (ID: n8dA/zGw)

>>6
初めまして。コメ有難う御座います。嬉しくて叫びたい衝動を何とか堪えました←
今のところ、ややファンタジー(?)を絡めた青春ものの予定です。普通に青春ものになる可能性大。
面白そうと言っていただけて光栄です^^
はい、夏です。私も暑いのは嫌いです; 寒いほうがマシという頭を持っております。
是非置いていってくださいな。本当に喜びすぎて脛を打つかもしれません←
そのお言葉を糧に、期待に沿えるよう今の私の国語力全てを持ってして更新頑張って参ります

Re: 《祝参照100突破》 奇 ≪オリキャラ・コメ募集≫ ( No.8 )
日時: 2013/03/22 16:05
名前: 愛深覚羅 ◆KQWBKjlV6o (ID: ozMnG.Yl)

キャラ考えてきました!
曖昧な点があれば言って下さい
3のそしての続き、かなり気になりますね!
夢なのでしょうか?
描写が分かりやすくてすぐ状況の想像付きました
すごいですね
では、また見に来ます失礼します!


【テンプレート】()は消してご使用下さい。

名前「早乙女 南」読み「さおとめ みなみ」
年齢「17」性別「女」
性格「自由気ままでマイペースな性格。あまり細かい事は気にしない。めんどくさい事は嫌いだから授業はあまり聞いていない。手先が不器用。考えてそうで考えてない。ゆるーく生きてそうな感じ。二択が好き」
容姿「黒髪で大きな黒目。髪は背中ぐらいまで束ねてない。それなりに美人。スレンダーな体型」
服装「ちょっとだらしない。あまり肌をみせない服装が多い」

備考・その他「食べ物が好きで、人の食べてるものを唐突に食べたくなる」
立場「ひょんなことから月野の友人になる。梅先生となぜか親しい」

一人称「あたし」
二人称「よびすて」
三人称「あんた」

※キャラ崩壊おk?「おk!」
※キャラ放置おk?「おk!」

サンボイ「あ、あたし早乙女」「はい!にたくー私が物欲しそうな目で見てますあなたは自分の持っている食べ物をあげますか?あげませんか?」「あははまた面白いことしてるなー」

Re:  奇 ≪オリキャラ・コメ募集≫ ( No.9 )
日時: 2013/03/26 10:30
名前: 詩音 ◆qAW6lS0Ln. (ID: ooSuqKMN)

やっほ〜☆
詩音or古沢結依orアリスことねねですw←
宣伝されたから、遅くなっちゃったけど来ました!!

文章力ありすぎて目がぁぁあ!!ってなっちゃったよw
梨音がこうなるのは超神作だからなのか。フムフム……。

私も暑いの嫌いだわぁ。寒い方が良い。夏ってムカムカするよね〜w
結花も結結シリーズにいr((

度々見に来ます(#^_^#)

Re:  奇 ≪オリキャラ・コメ募集≫ ( No.10 )
日時: 2013/03/26 23:00
名前: 旦吟 ◆zXzD5537C6 (ID: tMPenRNj)

対応が遅くなり申し訳ありません。出現率が前よりだいぶ少なくなります故。

>>8(愛深覚羅さん)
……さて、どうなるかな(
再びの有難う御座います。描写はあまり自信がなかったのでそういってもらえると嬉しいです

自由人ktkrw
手先が不器用って可愛いですね……むへh((変態発動
夜のテンションって恐ろしいですね;←ぇ
キャラ有難う御座いましたb 大切に使わせていただきます。力量絡みでほんとキャラ崩壊したらごめんなさいですorz

>>9
どうも。キャラが微妙に違うとか言わないでやってくださいね。おそらくネット上限定で多重人格(ぇ
超紙作ってあれですね、紙がありすぎて重そうですね(は?
目がぁぁぁあは「バルス!」と言わない限りなりませんのでご安心を。あ、あとレモン汁。

苛々の元ですよね、暑さは。結花も結結シリーズに入れちゃってください。何か走り回って喜ぶかも まる

どうも有難う御座います。