複雑・ファジー小説

Re: 死神様ト幽霊指南役 ( No.1 )
日時: 2013/03/28 22:41
名前: 篠宮大和 (ID: IlzFUJT4)

序章『幽霊指南役』


プロローグ


あたしは不運なことにトラックに引かれてしまった。

目が覚めた。
しかし、ここがどこかわからない。
ただの真っ白な空間。
そこにあたしは1人で立っている。
事故にあった時と同じ様に。
そうだ、あたしは事故にあったんじゃないか。
ふと、そう思う。
事故にあって、意識が消えたのだから死んだと思っていたんだけど。

「あたし、死んだのかな……」

「それは、まだわからないよ」

独り言を言ったとおもったが、人がいたようだ。
見ると、猫耳つけた小さい男の子。
……そういう趣味がなくとも、可愛いと純粋に思う。

「?……ちょっと、お姉さん?」
「え?あっ、ごめん」

じっと見つめていたら、不機嫌そうな顔で睨まれた。(可愛いけども)
というか、

「さっきの“まだわからない”ってどういうこと?」
「あー……本当にわからないからだよ。」
「…………で?」

なんか、偉そうに言った猫耳少年に少しばかりイラつきながら答えを待つ。
顔に出ていたのだろうか、少年はむっと不機嫌になる。

「なんだよ。せっかく僕がお姉さんを助けようと思っているのに。お姉さんは僕にたいしてそんな態度な訳?」
「ごめんって。……それで?どういうことか教えてくれない?」

素直に謝ると、少年は宜しいというように胸をはる。
……悔しいが、可愛い。
猫耳がピンとたった。

「お姉さんが僕のお願い聞いてくれたら、僕の力で生き返らせてあげる!」

……おう。

「……え。なんかもっと反応あるかと思ったよ。僕。」
「うん。……てか、あたしは死んでたんだな」
「そうだよっ」

くるんと、一回転して少年は笑う。
てか、んなにこやかに死んでたよ〜的なこと言われてもさ。

「それから、ここはどこなの?」
「うにゅ?“世界の狭間”だよ」
「“世界の狭間”……?」

聞きなれない単語に首を傾げる。
すると、少年は簡単に説明をしてくれた。

「うん。この世界には、光の世界と闇の世界、二つが存在するんだ。光の世界は、君ら人間が住んでる世界。もう一つの闇の世界は、簡単にいうと死者の世界だよ」
「なるほど。で?狭間の世界は?……なんとなく、予想出来るけども」
「うん。多分お姉さんが思ったとおり。光の世界と闇の世界の間の空間の世界さ」

さて、さっきから現実離れしている話を聞かされているが自然とあたしは受け入れて行った。

「それでね、僕、お姉さんにお願いがあるんだ」
「おう」
「光の世界で死んだ魂は、闇の世界に行くんだけど1人ではいけないんだ」
「……魂が?」
「そう、助けが必要なの。力のある人間の」
「……それで?」
「お姉さん“存在してはいけないもの”がみえるでしょ」

意味深な少年の言葉。
あたしには、覚えがあった。

「幽霊の、こと?」
「うん。そうだよ」

そう、あたしは視えていた。多分、小さい時から。
あの頃は、すごく怖くてずっと怯えていただけだけど、今は平気になった。

「それでね、そういう力をもった人間はね、自動的に【幽霊指南役】に選ばれるの」
「幽霊、指南役?」

呟くと、少年は微笑んだ。




「そう! お姉さんになって欲しいんだ! それで、幽霊達を助けて欲しいんだよっ!!」








『あたしはこれから、どうなってしまうんでしょうか、神様。』