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複雑・ファジー小説
- Re: とある学園ある日の話【短編集】オリキャラ募集 ( No.3 )
- 日時: 2013/04/04 23:18
- 名前: ナル姫 (ID: CN./FYLZ)
春のうららのポカポカ陽気。こんな気持ちの良い昼休みに眠くないわけがなくて。
成程、春眠暁を覚えずとはよく言ったものだ。あれ?これを言ったのって杜甫?李白?誰だっけ?まぁ良いや。
【春眠、純粋は覚える】
「名倉くん」
ったく誰だ、この美しき俺の春の居眠りを妨げやがる輩は。ぶっ倒すぞ。
視線をあげると、黒いお下げが目に入った。
「……榎本」
榎本和樹。本が好きな奴だってことは覚えてる。だがこの美しき俺に相応しい美貌は愚か、性格は暗いしウジウジしてるしまぁ何が言いたいかって、俺は嫌いだ。
「何の用?」
面倒くさそうに答えれば、ヒッと小さく呟き肩を竦めた。ありえねぇ。俺の麗しい瞳を見たらますヒッじゃなくてキュンッだろ?
「あの、これ…」
小さな手に握られていたのは綺麗な包装紙に包まれた焼き菓子だった。
「また、同じクラスだから」
「あっそ」
この包装紙こそが俺に相応しいとすら思えた。だってお前よりずっと綺麗だ。
「サンキュ」
だったら受けとるなよって?そりゃあ無理な相談だな。
だって、焼き菓子は旨いだろ?
それにこうやって、話さないような奴にまで菓子を持ってきてくれるなんて中々ないぜ?これは、こいつの綺麗な心の結晶だよ。
(だから、俺が食べるのが相応しいのさ)
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