複雑・ファジー小説
- Re: Dark Blood ( No.7 )
- 日時: 2013/12/26 11:37
- 名前: 骸霍 銀蛇 (ID: kAWEuRKf)
旅人?
「旅の途中で寄っただけ?」
「それが分からないので…」
「私頼み、ね」
「ええ、旅人と少し会話するだけでいいので」
彼らに頼まれるのは嫌いだ
だが
「分かった」
旅人には興味があった
「失礼」
ノックもせず、宿屋のとある一部屋に入る
部屋の中には見たことのない、男が1人いた
「…………」
彼はベッドに腰かけたまま、視線だけを私に向けた
両目の色がちがうんだ……にしても、綺麗な髪
「……誰?」
低い声で、彼は聞いてきた
「初めまして、旅人さん」
私はできるだけ笑顔で対応する
「私は麗羅、ここの村人。あなたは?」
「…………………………」
え?
何で黙るの?
私名乗ったんですけど?
立っているのも疲れるので、部屋にあったイスに腰かける
「ざん」
いきなり、彼はつぶやいた
「ざん? ……ああ、名前?」
何の反応もしない
何コイツ、無愛想な奴
「ざん って、どういう字? 残る?」
「きる」
「きる? ……斬る、か」
変わった名前ね……
「何でこの村に来たの? 旅の途中に寄っただけ?」
「…………………………」
「何もないでしょ、この村」
「…………………………」
「この村にはいつまでも滞在するの?」
「…………………………」
なんで無言なの?
私はだんだんイラついてきた
「いつから旅をしてるの?」
「…………………………」
「1人なの?」
「…………………………」
「何で旅してんの?」
「復讐のため」
「え?」
この質問にだけ、答えを返してくれた
復讐?え?
「……復讐したい相手がいるから、旅をしてるの?」
「ああ」
「なんか……されたの?」
「殺された」
「……誰を?」
「両親」
「……誰に?」
「ドラゴン」
「……」
「俺の目の前で」
「……」
「酷いやり方で」
「……」
「殺された」
何で…彼は……斬は……
表情を変えないのだろうか……
「悲しく、ないの?」
「憎い」
ただ、淡々と言う彼が、
私は……
「……可哀想ね」
そんな風に見えた